韓国自動車メーカーが米国IRA税額控除の対象車種から除外、引き続き米国と協議へ

(韓国、米国)

ソウル発

2023年04月25日

韓国産業通商資源部は4月18日、米国内国歳入庁(IRS)が発表したインフレ削減法(IRA)に基づく税額控除の対象車種に韓国自動車メーカー(現代自動車、起亜)が含まれなかったことに対し、以下の立場を説明した(注1)。

(1)IRAガイダンスの施行以降、税額控除の対象車種や控除額が縮小した(注2)ため、韓国自動車業界の米国市場における競争環境が著しく後退したものではない。

(2)IRA税額控除を享受するための主要要件である重要鉱物・バッテリー部品の調達要件の大部分は満たしている。

(3)米国での韓国産クリーンビークル〔電気自動車(EV)、水素自動車、ブラグインハイブリッド車〕の販売や輸出は拡大している(注3)。特に、IRAの税額控除の対象外であるリースおよび商用車の割合は2022年の5%から2023年(1~3月)は28%に急激に上昇している。

(4)このような中、産業通商資源部は、韓国業界の米国内でのEV、バッテリー工場の投資過程において、投資税額控除など他の恩典(注4)を最大化するため、関連業界とも意思疎通を密接にして、米国側と引き続き協議していく。

「朝鮮ビジネス」(4月19日)は、韓国車がIRAの税額控除の対象から外れたことに対し、「現代、起亜は、今年はEV税額控除を適用できる可能性が低かったこともあり、比較的落ち着いている」と報じた。その上で、「今回の税額控除の対象車種が予想より少なく、競争環境が良くなったという解釈も可能だ。現代、起亜はIRAの適用を受けないリース車両などの商用EV市場に集中し、現地での生産体制を整える計画だ」としている。

(注1)IRSは、米国の4社22モデルを税額控除の対象として発表された(2023年4月18日記事参照)

(注2)対象車種は「39車種」から「22車種」、控除額は「7,500ドル」から「7,500ドルまたは3,750ドル」に縮小した。

(注3)2022年8月と2023年3月の比較では、韓国から米国へのクリーンビークル輸出台数は5,500台から1万4,400台、米国国内での販売台数は5,500台から7,500台(暫定値)に拡大している。

(注4)車種に対する税額控除のほか、投資税額控除などの恩典もある(2023年2月17日記事参照)。

(当間正明)

(韓国、米国)

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