大連日本商工会が投資環境を把握、9割超が中国での事業規模を拡大か現状維持
(中国)
大連発
2023年04月06日
中国・大連市に所在する日系企業で構成する大連日本商工会は2月10日、同市の投資環境に関する実態把握を会員間の情報共有を目的に発表した。実態把握は2022年11月25日から12月19日まで、同会会員企業に対して実施した(回答企業は130社、有効回答率18.7%)。回答企業の業種別構成比をみると、製造業76社(全体の58%)、非製造業48社(37%)、その他6社(5%)となった。
実態把握の結果によると、中国での事業規模の展望(2023~2025年)について、「現状維持」が49%(64社)と最も多く、次いで「拡大」は44%(57社)となった。今後1~5年の事業展開の方向性について、96%(125社)が「中国他地域もしくは第三国(地域)へ移転もしくは撤退予定はない」と回答した。
他方で、新型コロナ禍のビジネスへの影響について、「新型コロナの影響が想定されるが、今年の売り上げは当初計画と比べてどの程度か」との設問に対し、「ほぼ計画通り」が46%(60社)、「約25%減」が29%(37社)、「約50%減」が8%(11社)などと回答した。上記回答からも、約5割の企業が新型コロナウイルス感染の影響をある程度免れた一方で、残りの多くの企業で、程度の差はあれ利益減に見舞われたことが浮き彫りとなった。
急激な為替レートの変動・円安の影響を受けた企業は6割超え
急激な為替レートの変動・円安が事業へ与えた影響について、65%(85社)の企業が「影響がある」と答えた。具体的には、「為替差損の発生」「為替予約のコストアップが生じた」「円安による売上高の減収」「日本から中国へのオーダー減少」「(円建ての予算編成のため)人件費など固定費負担の増大」といった回答があった。
大連市には日本向けのBPO業務を行っている企業が多数進出していることを踏まえ、中国のデータ3法(注)の施行に伴う経営上の影響について尋ねたところ、25%(32社)が「影響がある」と回答する一方、75%(98社)が「影響がない」と回答した。また、「データ3法について何らかの対応を行ったか」について、「対応済み/対応中」35%(46社)、「現段階では対応予定はない」57%(74社)、「その他」8%(10社)だった。「対応済み/対応中」と回答した企業によると、「社内規定の改定(労働契約書に個人情報保護について追記)」「従業員からの『個人情報処理同意書』の取得」などを挙げた。
また、遼寧省と大連市の優遇策のうち有益だった政策について聞いたところ(複数回答)、「社会保険の減免」65%(85社)が最も多く、次いで「企業所得税の減免」45%(59社)、「人社局の企業休業補助金」45%(58社)、「増値税など税金の減免」35%(46社)と続いた。企業の新規投資や操業継続に当たり、費用負担軽減につながる具体的な政策が有益とみている。
(注)中国の「サイバーセキュリティー法」「データセキュリティー法」および「個人情報保護法」。
(高文寧)
(中国)
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