政策金利を7.75%に据え置き、食料と燃料価格の上昇を警戒
(ペルー)
リマ発
2023年04月21日
ペルー中央準備銀行(BCR)は4月13日、政策金利を前回に引き続き7.75%で据え置くと発表した(2023年3月15日記事参照)。BCRは、前回と同様に、今回の決定でこれまでの引き上げサイクルが終わったわけではないとしており、今後のインフレ状況や経済動向を見極めた上で引き続き調整を行うことを示唆した。今回の決定については、以下を考慮したと説明している。
(1)3月のインフレ率が1.25%で、食料とエネルギーコストを除くと0.88%を記録。直近12カ月間の累計インフレ率は2月の8.65%から3月には8.40%に低下した一方で、食料とエネルギーコストを除いた12カ月間累計インフレ率は2月の5.87%から3月には5.92%に上昇し、いずれも政府目標値(1~3%)を上回っている。
(2)2021年後半から続いている、顕著な原油や食料価格の高騰に加えて、国際紛争などによる影響が、先進国や中南米地域の中央銀行目標インフレ率を大きく上回る、世界的に過去数年間において類を見ないインフレを引き起こしている。ペルーの場合はさらに、鶏肉と卵など一部食料の供給不足(注)に加えて、ここ数カ月間の豪雨による洪水被害の影響により一過性のインフレ率上昇も記録した。
(3)インフレ率はこの先数か月の間に低下傾向に入り、前年比で政府目標値(1~3%)内に収まるのは、食料や燃料価格の高騰が緩和し、社会争議がもたらした農産業分野における需給ショックが回復し、インフレ率予想が低下に転じる2023年の第4四半期(10~12月)となる見通し。
(4)3月の今後12カ月の累計インフレ率の見通しは4.30%で推移し、政府目標値(1~3%)の上限を上回っている。
(5)経済評価指標や予測指標の多くは3月に好転したが、依然として悲観的見通しが継続している。国際経済の成長見込みは緩やかに上昇傾向にあるが、引き続き先進国における政策金利のさらなる引き上げの見通しや国際紛争などの影響によるグローバルリスクがあるほか、エネルギー価格の値上げ圧力による影響が懸念されている。
BCR理事会では、引き続きインフレとその見通しや経済動向などを注視しながら、必要に応じて緩和的金融政策を維持しつつ、不安定な金融市場を下支えしていくとしている。次回のBCR金融政策決定会合は2023年5月11日を予定している。
(注)2022年末から国内で発生した鳥インフルエンザによる影響で鶏肉と卵の供給制限が発生したほか、エルニーニョ現象による気温の上昇で鶏の体重減少や道路封鎖などの影響でボリビアからの飼料(大豆)の輸入が遅延したため、卵の生産供給量が減少した。
(設楽隆裕)
(ペルー)
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