中銀が3カ月連続で政策金利を7.75%に維持
(ペルー)
リマ発
2023年03月15日
ペルー中央準備銀行(BCR)は3月9日、金融政策決定会合で政策金利を3カ月連続で7.75%に据え置くと発表した(2023年2月24日記事参照)。BCRは今回の決定について、前月まで続いた引き上げサイクルが終わったわけではないとした上で、今回の決定は以下を考慮したと説明している。
1. 2月のインフレ率が0.29%で、食料とエネルギーコストを除くと0.27%を記録。直近12カ月間の累計インフレ率は1月の8.66%から2月には8.65%へとわずかに低下した。一方で、食料とエネルギーコストを除いた12カ月間累計インフレ率は、1月の5.80%から2月には5.87%に上昇し、いずれも政府目標値(1~3%)を上回っている。
2. 2021年後半から続いている顕著な原油や食料価格の高騰に加えて、直近の国際紛争などが、世界的に過去数年間において類を見ない、かつ、先進国や中南米地域の中銀目標インフレ率を大きく上回る規模で上昇している。さらに2022年12月からの社会的対立がペルー国内のインフレ上昇に拍車をかけている。
3. インフレ率は3月以降低下する見通し。また、政府目標値(1~3%)内に収まるのは、食料や燃料価格の緩和、社会争議がもたらした農産業分野における需給ショックの回復およびインフレ予想が減少に転じる2023年第4四半期となる見通し。ただ、社会対立や豪雨被害などの影響から、3月のインフレ率が前月より上昇する可能性もある。
4. 今後12カ月の累計インフレ率は、1月から2月にかけて4.62%から4.29%に低下し、政府目標値(1~3%)の上限を上回る見通し。また、2023年の年間インフレ率見通しも4.73%から4.50%に低下している。
5. 経済評価指標や見通し指標の多くが2月に好転したが、依然として悲観的見通しも継続している。
6. 国際経済の成長見込みは緩やかに上昇傾向にあるが、引き続き先進国における政策金利のさらなる引き上げ見通しや、国際的インフレによる消費への影響、国際紛争などの影響によるグローバルリスクの可能性は残されている。
BCR理事会では、引き続きインフレ見通しや経済動向などを注視しながら、必要に応じて緩和的金融政策を維持しつつ不安定な金融市場を下支えしていくとしている。次回のBCR金融政策決定会合は4月13日を予定している。
(設楽隆裕)
(ペルー)
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