政府、カナダ人以外の住宅用不動産購入禁止規則を改正

(カナダ)

トロント発

2023年04月04日

カナダ政府は3月27日、2023年1月1日に施行した「カナダ人以外による住宅用不動産の購入禁止に関する規則」の改正を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。就労許可保持者に対する購入禁止要件を緩和するとともに、国内の住宅供給不足問題に対処すべく、カナダ人以外による宅地開発を目的とした住宅用地の購入を認める例外規定を設けた。加えて、住宅と複合用途に区画された全ての土地を購入禁止とする規則を撤廃し、それらの用途に区画された空き地のカナダ人以外による購入を認めたほか、法人が外国人によって支配されると定義する閾値を3%から10%に増加した。規則の改正は同日付で施行した。

政府は、オフショア資金の流入によって大都市圏の住宅価格が上昇したことから、2022年4月の予算案で外国人によるカナダでの非レクリエーション用の住宅用不動産購入を2年間禁止する法規制の整備を発表し(2022年4月12日記事参照)、2023年1月1日から2年間の期限付きで購入禁止措置を導入していた(2022年12月23日記事参照)。

しかし、新規則の適用によって外国資本の宅地開発業者が新規住宅建設事業を中止せざるを得なくなったり、住宅や複合用途に区画された土地の商業開発が滞ったりするなど、意図せずに商業用不動産の取引や開発に支障を来す事例が明らかになり、業界団体からは規則改正を望む声が上がっていた(「グローブ・アンド・メール」紙2月10日)。

今回の発表で、アハメッド・フッセン住宅・ダイバーシティー・インクルージョン相は「改正により、カナダへ新たに来た人たちは住宅所有を通じて根を下ろし、企業はカナダの都市での住宅供給を増やすことで雇用を創出し、住宅建設が可能になる。改正は、住宅が外国人投資家による投機的な投資ではなく、カナダに住む人々の住居として使用されることを保証する上で、適切なバランスを取っている」とコメントした。

なお、今回の改正により、就労許可証保持者が購入禁止規則の適用対象外となる条件は、(1)住宅購入時にカナダの就労許可証の有効期間が183日以上残っている、(2)カナダで住宅用不動産を複数購入していない(つまり、購入が認められるのは住宅用不動産1軒のみ)の2点を満たすことへ緩和されている(注)。

(注)これまで就労許可証保持者が購入禁止規則の適用対象外となるためには、(1)有効な就労許可証を所持しているか、カナダでの就労が許可されている、(2)購入年に先立つ4年間のうち、少なくとも3年間はカナダで正社員勤務をしている、(3)購入年に先立つ4年間のうち、3年間は所得税を申告している、(4)カナダで住宅用不動産を複数購入していない、の全てを満たしている必要があった。

(飯田洋子)

(カナダ)

ビジネス短信 5a4172e6041341ec