ジェトロ、「米国の経済安全保障に関する措置への実務的対応」レポート公表

(米国、中国)

米州課

2023年04月27日

ジェトロは4月25日、「米国の経済安全保障に関する措置への実務的対応」と題する調査レポートを公表した。

米国で近年、「経済安全保障」に関する輸出入や投資、政府や民間の取引に関する規制が強化されている。これらの規制は多様かつ複雑で、進展も早いため、その内容を正確に理解し、的確に対応することは実務上容易ではない。そこで、同レポートはこれら規制内容について概観するとともに、ケーススタディーも活用しながら、実務的な対応について解説している。

経済安全保障に関連する規制の中でも、米国輸出管理規則(EAR)に対する関心は高い。その中でも特に、商務省産業安全保障局(BIS)が2022年10月に発表した、中国の先端半導体やアドバンスト・コンピューティング、スーパーコンピュータに対する規制強化への関心は高い。レポートではこうした規制の変化も踏まえながら、米国原産品を一定程度組み込んだ製品輸出のデミニミス値の考え方や、日本国籍の研究者が取引先の米国法人から米国原産技術に関する技術情報を受領した場合のみなし輸出のケーススタディーなどを取り上げて解説している。

人権保護を理由とした輸入制限については、1930年関税法307条と、同法を補強するウイグル強制労働防止法(UFLPA)をポイントとして挙げている。UFLPAは、新疆ウイグル自治区で全部または一部が採掘、生産または製造された産品の輸入を原則として禁止している。レポートでは、執行対象となるリスクが高い製品や、どのようにしてサプライチェーンのデューディリジェンスを行うことが求められているかなどについて解説している。

対米外国投資委員会(CFIUS)の権限強化も、注視が必要な分野だ。米国の国家安全保障にリスクがある投資の場合には、CFIUSに対する正式届け出の検討を行う必要性がある。ただし、正式届け出は取引規模に応じた手数料の支払いが必要な上、一定の審査日数を要する。レポートではこれらの点も解説した。

その他、外国企業の通信関連製品・サービスの排除に関連した措置や、米国人による外国企業への証券投資の禁止なども取り上げている。

本レポートはこちらから閲覧が可能。

(谷本皓哉)

(米国、中国)

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