3月の消費者物価上昇率は前月比7.7%増、インフレに歯止めかからず

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年04月26日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は4月14日、3月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比7.7%増だったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2002年4月に10.4%を記録して以来、過去20年で最も高い水準となった。前年同月比(年率)では104.3%と2カ月連続で100%を超えた(添付資料図参照)。1~3月累計の物価上昇率は21.7%に達した。

3月の消費者物価上昇率(前月比)の内訳をみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは9.3%、エネルギーや公共サービスなど価格が統制された財・サービスは8.3%だった。これら財・サービスの上昇率は2月の3.1%と5.1%から急上昇した。季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は前月より1ポイント低下の7.2%だが、依然として高止まりしたままだ。

前月比の伸び率を費目別にみると、伸び率が特に大きかったのは教育の29.1%。INDECによると、3月の新学期開始とともに学費が高騰したのが原因。そのほかに伸び率が高かったのは、衣類・靴類の9.4%、食品・飲料(酒類を除く)の9.3%、酒類・たばこの8.3%、外食・ホテルの7.9%だった(添付資料表1参照)。INDECによると、CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)の高騰は前月同様、牛肉の値上げが主因だ。

4月16日付現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)は「3月のCPI上昇率は政府予想を超えており、新学期の開始や季節の変わり目による要因のほか、歴史的な干ばつの影響(2023年3月24日記事参照)や鳥インフルエンザ発生による鶏肉や鶏卵価格の高騰を主な原因」とする経済省のガブリエル・ルビンスタイン次官の見方を伝えた。

4月24日付現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)によると、4月も食品や飲料の価格上昇が見られて、CPI上昇率はさらに加速すると民間エコノミストなどは予測している。4月10日から24日にかけて現地通貨ペソの対ドル並行為替レート(注)は18%下落し、24日には1ドル462ペソまで下落した。同日の公式為替レートは1ドル226.94ペソで、両者の乖離幅は100%を超えた。並行為替レートの大幅な下落の心理的影響は大きく、さらなる物価上昇を招くとみられる。ジェトロが4月17日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査(添付資料表2参照)でも、前月比の伸び率が2桁を超えた品目が多くあり、4月もインフレ率は高止まりする可能性が高い。

(注)並行為替レートとは、公式為替レートでの外貨購入が制限されていることにより、市中で非公式に行われる外貨の売買取引に介在する為替レート。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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