法人税の小規模事業者向け救済措置が発表

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2023年04月10日

アラブ首長国連邦(UAE)財務省は4月6日、法人税における小規模事業者やスタートアップ企業などへの救済措置(2023年閣議決定第73号)を発表し、2023年6月1日から適用することを発表した。

この閣議決定において、居住者である課税対象者は、当該課税期間および以前の課税期間における収益が、各課税期間において300万ディルハム(約1億800万円、1ディルハム=約36円)以下の場合、小規模事業者向け救済措置を申請することができ、法人税が免除される。逆に、課税対象者がいずれかの課税期間において300万ディルハムの収益基準を超えると、救済措置を受けることができない。300万ディルハムの収益基準を判断する期間は、2023年6月1日以降に開始される課税期間に適用され、2026年12月31日以前に終了する後続の課税期間に引き続き適用される。

この救済措置は、適格フリーゾーン企業(「適格」の条件は未発表)、または多国籍企業グループの構成企業には適用されない。多国籍企業グループとは、2カ国以上で事業を展開し、グループ連結収益が31億5,000万ディルハムを超える企業グループを指す。

また、小規模事業者向け救済措置の恩恵を受けるため意図的な事業分割を行うことについては、課税対象者が事業活動を意図的に分割しても、連邦税務当局は、分割前の事業活動全体の総収益がいずれかの課税期間において300万ディルハムを超えると認定した場合、小規模事業者の認定を取り消すと定められている。

この閣議決定は、スタートアップ企業や小規模事業者にとって大きな恩恵となる。また、在UAE日系企業の多くはフリーゾーンに拠点を構えているが、フリーゾーン企業の法人税上の扱いについては今後の発表が待たれる。

なお、UAEにおける法人税の基本原則は37万5,000ディルハムを超える年間所得に対して9%の税を課すもの。2022年1月に導入が発表され(2022年2月2日記事参照)、同年12月に施行規則が出ている(2022年12月13日記事参照)。

(吉村優美子)

(アラブ首長国連邦)

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