米国の一連の銀行破綻に関する分析を発表、シンクタンク調査

(米国)

米州課

2023年04月17日

米国で3月にシリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャー銀行が経営破綻したことを受けて(2023年3月13日3月14日記事参照)、シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは4月11日、過去の金融危機の流れと今回の銀行破綻に関する分析を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国連邦預金保険公社(FDIC)によると、SVBの2022年末の総資産額は2,090億ドル、シグネチャー銀行は1,104億ドルで、1934年以降に経営破綻した銀行では、それぞれ2位、4位に位置付けられており、過去の金融機関の破綻例と比べても規模が大きい。1位は2008年のリーマン・ショック時に経営破綻したワシントン・ミューチュアル銀行(4,244億ドル)、3位は1984年に経営破綻したコンティネンタル・イリノイ・ナショナル銀行(1,111億ドル)だ。2007年から2014年までの間には、住宅ローンの破綻とそれに続く世界的な金融危機により500以上の銀行が倒産し、その総資産は約9,590億ドルに上る。

ピュー・リサーチ・センターは、一般的な銀行が倒産する理由として、預金取り崩し(引き出したい人全員に支払う現金が銀行にない)、不良債権の多さまたは資産価値の急落(いずれも銀行の資本準備金を損なう)、銀行が資産(主に融資)から得られる収益と負債(主に預金)から支払わなければならない金額のミスマッチ、といった点を挙げている。これらの要因が複数作用することもあるとしている。

例えば、SVBでは連邦準備制度理事会(FRB)の急激な利上げにより、大量に保有していた国債が価値を失った。同時に、スタートアップの資金繰りが厳しくなり、SVBの顧客は資金を引き揚げるようになった。SVBがバランスシートを補強するために、18億ドルの損失で債券ポートフォリオをすべて売却し、22億5,000万ドル相当の新株を売り出すという異例の措置をとったことが、預金者に不安を与え、預金の引き出しにつながったと解説している。

FRBが銀行の経営破綻を受けて、「全ての預金者を完全に保護する」との声明を発表するなど、事態の収拾を図っているが、銀行の経営破綻後の世論調査では、銀行への信用度が大きく低下している(2023年3月27日記事参照)。

(松岡智恵子)

(米国)

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