グジャラート州政府、労働者の最低賃金を約25%アップ

(インド)

アーメダバード発

2023年04月27日

インド西部のグジャラート(GJ)州は46業種について、熟練、半熟練、非熟練労働者の各カテゴリーの最低賃金を約25%、月額で約2,400ルピー(約3,840円、1ルピー=約1.6円)相当額引き上げると発表した。(州政府広報3月27日、「デシ・グジャラート」紙3月21日)

バルバントシン・ラジプット州労働雇用相は「現在のGJ州の労働者の賃金構造は2014年に施行されたもので、州政府が最低賃金の25%もの引き上げを行うのは今回が初めて。州内の約2,000万人の労働者に恩恵をもたらす」と強調している。

GJ州自治体法などによって規定される市域に従って「ゾーンI」(州内の主要大都市に該当)、「ゾーンII」(I以外の市町村)が規定されており、最低賃金は「ゾーンI」の方が「ゾーンII」よりやや高く設定されている。

同大臣によると、今回の州政府の決定に従うと、例えば「ゾーンI」の区域内で「1948年最低賃金法」に規定された46業種で働く熟練労働者については、最低月額賃金は9,887.80ルピーから1万2,324ルピーに引き上げられ、2,436.20ルピーの賃上げ(24.63%増)となる。

同様に、半熟練労働者については、州政府は最低月額賃金が9,653.80ルピーから1万1,986ルピーに引き上げられ、2,332.20ルピーの賃上げ(24.15%増)、非熟練労働者は、最低月額賃金が9,445.80ルピーから1万1,752ルピーに引き上げられ、2,306.20ルピーの賃上げ(24.41%増)となる。

これに対して、産業界からは反発の声が上がっている。GJ商工会議所はブペンドラ・パテルGJ州首相に4月19日付で書簡を送り、「現在の小規模事業者の操業環境の厳しさを踏まえ、企業収益の悪化や倒産、労働者の解雇を防ぐには、15%程度の引き上げにとどめるべき」と再考を求めたとされる(「インディアン・エクスプレス」紙4月21日)。

ジェトロがマンダル、サナンドに進出している日系企業数社に取材したところ、「今回の最低賃金の引き上げは正社員や事務職には影響しないが、生産現場で派遣労働者を多数抱えている場合は対策の検討が必要だ」との声が聞かれた(ジェトロ取材4月13日)。

(古川毅彦)

(インド)

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