記録的インフレで賃金購買力は低下

(スイス)

ジュネーブ発

2023年04月26日

スイス連邦統計局(FSO)は4月24日、2022年の賃金水準について発表し〔プレスリリース(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕、名目賃金指数は前年比で平均0.9%上昇した(2021年は前年比0.2%減、2020年は同0.8%増、2019年は同0.9%増、2018年は同0.5%増)。一方、ガス、石油製品、自動車、住宅家賃の上昇を受けて、2022年の消費者物価指数上昇率(インフレ率)が年平均2.8%と記録的な高さだったことから、名目賃金をインフレ率で調整した実質賃金の購買力は1.9%減となった。

産業部門の名目賃金は平均0.7%増で、経済全体の0.9%増よりもわずかな上昇だった。産業別にみると、石油製品や化学・医薬品産業で最も上昇(4.0%増)し、ゴム・プラスチック・非金属鉱物産業で最も減少(2.2%減)、食品・たばこ産業では横ばいだった。サービス部門は産業部門に比べて名目賃金が上昇し(平均1.0%増)、保険業(2.7%増)とコンピュータ・情報サービス業(2.4%増)で最も上昇した。

男女比較では、男性の名目賃金は名目値で平均1.1%増加し、女性の0.8%増を上回った。名目賃金の上昇幅が大きい職種としては、男性は金融・保険業(2.2%増)、女性は科学・技術専門職(1.7%増)だった。

(竹上嗣郎)

(スイス)

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