中国とシンガポール、両国関係を一段と強化、2国間FTAも改定へ

(シンガポール、中国)

シンガポール発

2023年04月04日

中国を訪問したシンガポールのリー・シェンロン首相は3月31日、習近平中国国家主席と会談し、両国関係を「全方位高度未来志向型パートナーシップ」へと強化することで合意した。リー首相は今回、李強首相の招待を受けて、3月27日から4月1日まで中国を公式訪問した。両国は関係強化の一環として、2018年に締結した中国・シンガポール自由貿易協定(CSFTA)も見直す。

共同声明(4月1日)によると、両国政府はCSFTAをアップグレードするための作業プログラムの追加交渉締結を歓迎した。CSFTAの見直しによって「よりビジネス寄りで、リベラルな透明性の高いルールが設定され、両国企業の投資や取引するための市場アクセスが改善される」としている。両国は2023年内にもCSFTA改定の合意への署名を目指す。

また、両国は、ASEANと中国が「包括的戦略パートナーシップ」(注)に基づき、関係を一層強化していく方針を再確認した。両国は、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の効率的な導入と、ASEAN中国FTA(ACFTA)の改定版「ACFTA 3.0」の実現に向けた準備でも協力する。

シンガポール、中国のCPTPP加入申請を歓迎

リー首相は4月1日、李強首相と会談。リー首相は、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への中国の加入申請を原則的に支持した。また、中国のデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)への申請も歓迎した。

このほか、中国とシンガポールは今回、両国の輸出入食品の安全性や、中国の「一帯一路」の国際仲裁枠組み、科学技術や芸術、環境などでも覚書を結んだ。

(注)中国とASEANは2021年11月、関係を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げすることに合意した(2021年11月29日記事参照)。

(本田智津絵)

(シンガポール、中国)

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