広東省東莞市と香港国際空港を結ぶ海空複合輸送ルート実現

(中国、香港)

広州発

2023年04月28日

中国広東省東莞市と香港国際空港の港を結ぶ海空複合輸送を実現する「東莞-香港国際空港センター」(東莞空港センター)が4月18日、正式に運用を開始した。このプロジェクトは広東省~香港間の協力枠組み協定の重点事業として位置付けられており、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)構想の一環でもある。

これまで、東莞市からの輸出貨物が香港国際空港を経由して他国に発送される場合、一般的に陸路で深セン口岸を経由して香港国際空港の貨物ターミナルに輸送、その後、セキュリティー検査をして世界各地に発送するという一連のステップを踏む必要があった。それが東莞空港センターのサービス開始により、通関手続きをワンストップで行えるほか、東莞市側でのセキュリティー検査や梱包(こんぽう)作業後に、同市内の港湾から海路で香港空港に直接運ばれ、航空機に積み込みできるようになったため、深センを経由する必要がなくなった。

黄埔税関(注)総合業務処の王永俊処長は「国境を越える前にセキュリティー検査を行うこのプロジェクトは全国で初の試みで、両地の輸送時間は2割、物流コストは3割の削減が可能だ」との見方を示した。

香港特区の李家超行政長官率いる香港特区政府と立法会大湾区訪問団が4月23日、東莞空港センターを訪問。その後、李行政長官は「香港は引き続き世界最大の航空貨物輸送量を誇る都市だ。東莞空港センターが広東・香港・マカオグレーターベイエリアの貨物にシームレスで便利な国際空輸ネットワークを提供し、香港の空輸中継ハブ機能をさらに発揮できると信じている」と自身のSNSに感想を投稿した。

東莞には進出日系企業を含む電子部品などの製造業が集積しており、香港空港を経由した輸出入の安定性や利便性の向上に対する関心が高い。ジェトロが2022年9月に東莞進出日系企業のビジネス環境改善を目的に東莞市政府との意見交換会を開催した際には、香港との越境輸送正常化に関して多くの関心が寄せられていた(2022年10月13日記事参照)。

(注)東莞市の税関の管轄機関は黄埔税関。

(汪涵芷)

(中国、香港)

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