企業は2023年の成長鈍化や2024年の景気後退を懸念、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2023年04月21日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が4月19日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、2月下旬から3月にかけての同地域の経済活動について、前回の調査期間(2023年3月10日記事参照)からほぼ変化がなかった(little changed)と報告した。関係者は今後数カ月の成長鈍化を予想しており、2024年以降の景気後退の可能性について懸念していると報告した。また、銀行関係者によると、3月のシリコンバレー銀行の破綻後、預金に多少の動きがあったものの、借入枠(借り手の利用可能額、credit availability)にはほとんど変化がなかったとした。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は緩やかに(moderately)増加したが、関係者は今後12カ月間に増加ペースが鈍化すると予想しているとした。多くの企業が特に技能職の労働者確保に苦労しているとする一方、数カ月前よりも雇用が容易になったとする声もあると報告した。

個人消費は報告期間中全体的に横ばいとなった(unchanged on balance)。自動車以外の小売売上高では、ガソリンと建材が減少し、家具と電化製品が予想を下回ったことから、やや軟調となった。自動車販売台数は全体として横ばいだった。

企業支出は安定して推移した(stable)。設備投資は小幅に増加し、複数の関係者からは既存設備の改修や拡張の支出があったと報告した。製造業では、在庫はわずかに増加し、多くの企業が供給網の混乱がなくなったとした。

製造業の需要はわずかに(modestly)減少した。鉄鋼の需要や、加工金属受注がわずかに減少し、複数の関係者が自動車部門での需要の減少を理由に挙げたと報告した。また、自動車生産はわずかに減少した。

2023年の同地区での農業所得については、投入資材のコストが高止まりしているにもかかわらず、多くの生産物価格は下落しているため、関係者は好調だった2022年に比べて所得が減少すると予想していると報告した。また、飼料価格の高騰は引き続き、ほとんどの畜産物の利益を圧迫したとしている。

地域社会の状況について、地域開発団体と行政機関は経済活動にほとんど変化はなかった(little change)と報告した。社会サービスに対する需要は、全体的な景気の底堅さが報告されたにもかかわらず、依然として高い水準にあるとしている。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料表参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(星野香織)

(米国)

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