HIF Globalと出光興産、合成燃料分野でMOU締結

(チリ、日本)

サンティアゴ発

2023年04月13日

HIF Globalと出光興産は4月5日、持続可能なエネルギーの普及や環境保全に向け、合成燃料(e-Fuel、注)の共同プロジェクトを推進するための戦略的協力に関する合意書(MOU)に署名した。合意内容には、HIF Globalが製造した合成燃料を出光興産が調達することや、日本および海外での合成燃料製造設備への共同出資、日本国内で回収した二酸化炭素(CO2)を合成燃料の原料として活用することなどが含まれる。

HIF Globalは米国テキサス州ヒューストンに本拠を置き、ドイツのポルシェが支援して、合成燃料の開発・製造で世界を牽引するグローバル企業だ。既に稼働しているチリ南部マガジャネス州プンタ・アレナスにある合成燃料製造プラントの建設プロジェクトには、ポルシェやシーメンス・エナジーなどのドイツ企業も参画している(2022年12月28日記事参照)。HIF Globalのセサル・ノルトン最高経営責任者(CEO)は「合成燃料は既に現実のものとなっており、エンジンを改造することなく自動車や船舶、航空機を脱炭素化することができる。世界的な存在感を持つ出光興産との協力により、15万バレルの合成燃料生産を達成するというわが社の計画の実現に近づく」とコメントしている。

出光興産は自社のウェブサイトで、2023年1月にHIF Globalのプラントを視察訪問し、製造された合成燃料のサンプルを入手したことを明らかにしている。今後、同燃料の日本国内での実用化・普及に向けた検討や、同社グループ製油所・事業所で合成燃料の生産検討を進め、2020年代後半までに国内の生産・供給体制を確立することを目指すと発表している。

(注)二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を合成して製造される燃料のことで、再生可能エネルギー由来のH2と大気中のCO2を合成することで生成される。

(岡戸美澪)

(チリ、日本)

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