米商務省、ファーウェイ向け輸出管理違反でシーゲイトに過去最高の3億ドルの罰金

(米国、中国、シンガポール)

ニューヨーク発

2023年04月21日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は4月19日、中国の華為技術(ファーウェイ)向けの輸出管理規則(EAR)に違反したとして、米国企業のシーゲイト・テクノロジーに3億ドルの罰金を科すと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。BISが執行した個別案件としては過去最高の罰金額となる。

シーゲイトはカリフォルニア州に本社を置くハードディスクドライブ(HDD)のメーカー。同社のカリフォルニア州フレモント拠点と、シンガポールにあるインターナショナル本社が罰金の対象になった。

BISは2020年8月に、ファーウェイに特化してEARの一部を強化しており、指定した製品(物品・技術・ソフトウエア)の輸出などを行う場合は、米国外で製造されていても、米国製の技術・ソフトウエアが用いられている限り、事前にBISの許可を得る必要がある(2020年8月18日記事参照)。これは、いわゆる外国直接製品(FDP)ルールと呼ばれる域外適用を可能とする特則で、シーゲイトはこの規則に違反して、HDDをファーウェイに納入していたとされる。

BISによると、ファーウェイ向けにEARを強化して以降、シーゲイトの競合2社は同社向けのHDDの販売を停止した。一方、シーゲイトはファーウェイ向けのビジネスを継続し、同社と3年間の戦略的協力協定を締結するなど、BISの許可なく740万個を超えるHDDを納入したとされる。商務省のマシュー・アクセルロッド次官補は「ファーウェイが米国の安全保障に反する行為を理由に、エンティティー・リストに掲載された後にもかかわらず、また、競合企業がFDPルールを受けて販売を停止したにもかかわらず、シーゲイトはHDDをファーウェイに納入し続けた」と糾弾した上で、それがBISによる過去最高額の罰金につながったと強調した。さらに「今回の和解事例は、BISが安全保障と企業間の平等な競争環境の確保に取り組む中で、企業がEARを厳格に順守する必要があることを明確に示したものだ」とした。同次官補は4月18日に、自己および他者による輸出管理違反の開示を奨励する覚書も公表しており、深刻な違反事例の摘発に力を入れている(2023年4月20日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、中国、シンガポール)

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