賃料上昇による事業への影響、欧州商工会議所調査

(シンガポール)

シンガポール発

2023年04月03日

シンガポールの欧州商工会議所(EuroCham)は3月24日、在シンガポールの欧州ビジネス団体、シンガポール国際商工会議所、在シンガポールの英国商工会議所、在シンガポールのカナダ商工会議所と共同で、268社を対象に調査した結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを基に、シンガポールで家賃やオフィス賃料が高騰している現状に関して懸念を表明した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同調査によると、シンガポールでオペレーションコストが上昇した最重要要因(複数回答、3つ選択)として、「賃貸料の増加:従業員向け家賃補助」(22%)が最大で、「インフレーションによる一般コスト増」(21%)、「給料上昇」(18%)が続いた。2022年または2023年に住宅賃貸契約を更新した場合の値上げ幅を尋ねる質問では、50%が上昇幅40%以上と回答した。

住居の家賃高騰の影響を受けているスタッフ1人当たりの補助については、「月額1,500シンガポール・ドル(約15万3,000円、Sドル、1Sドル=約102円で換算)未満」が62%と最大だった。EuroChamは調査レポートの中で、「従業員の家賃が大幅に増えたにもかかわらず、勤務先は十分な月額補助を支給していない」とした。

「オペレーションコストの上昇を受け、スタッフの一部をシンガポール国外に移すことを検討しているか」という問いに対しては、69%が「はい」と回答した。EuroChamは「このような状況は持続可能ではない。オペレーションコストが下がらない、あるいは企業が政府から支援を受けられない場合、シンガポールは外国企業にとって魅力がなくなり、近隣の国にオフィスを移転することになるだろう」とした。

また、「不安定な住宅事情により、従業員の心理的ストレスや業務遂行に支障をきたしているか」との問いには、97%〔「常に」(25%)、「しばしば」(53%)、「まれに」(19%)〕が支障を来していると回答。「シンガポールの賃貸料高騰に対する支援は、従業員の出費を抑えるだけでなく、職場内外での幸福に資する」とした。

(朝倉啓介)

(シンガポール)

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