政府がバナメイエビの商業生産を承認

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年04月12日

バングラデシュ水産畜産省は3月29日、同国におけるバナメイエビの商業生産を承認するとともに、商業生産にかかるガイドラインを提示した。

現在、全世界におけるエビの取引の77%はバナメイエビで、アジアの15カ国・地域を含む62カ国・地域で商業生産が行われている。そのような状況下、これまでバングラデシュでは、外来種であるバナメイエビの導入による生態系への影響や新たな病気の発生リスク、小規模な養殖事業者が高密度なバナメイエビの生産を行うための設備投資をするリソースがないことなどを考慮し、アジアの中で唯一、同種の商業生産が禁止されていた。同国ではこれまで、現地で「バグダ」と呼ばれるブラックタイガーや、「ゴルダ」と呼ばれるオニテナガエビなど、在来種の生産および輸出が主に行われてきたが、生産性がより高く安価なバナメイエビに押されて、輸出額が減少傾向にあった。

昨今の状況に鑑み、バングラデシュ冷凍食品輸出組合などは、バナメイエビの商業生産を承認するよう政府への要求を続けてきた。同要求に応えるかたちで、各地で試験的な生産が実施され、今回の商業生産の承認につながった。今後は、ガイドラインに従って、検疫施設などの必要なインフラが整えられた養殖事業者のみに商業生産が許可されることとなる。

南東部のコックスバザール地域でエビ養殖を行う、エム・ケー・エー エス・ピー・エフハッチェリー(MKA SPF Hatchery外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)のメイン・ウディン・アフメド・マネージングディレクターは「今回の政府による承認はわれわれにとっても良いニュースだ。当社では8月からバナメイエビの商業生産を開始予定で、稚エビの生産を行うことも計画している」と話した。

輸出振興庁(EPB)の統計によると、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の同国の全輸出額に占めるエビの割合は、0.7%にまで低下している。バナメイエビの商業生産開始が、輸出拡大および外貨獲得につながるか、今後の動向が注目される。

(薄木裕也)

(バングラデシュ)

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