第1四半期のスタートアップへの投資額は約17億ドル、2018年以降で最少

(イスラエル)

テルアビブ発

2023年04月13日

イスラエルのスタートアップエコシステム振興を担うNPO「スタートアップ・ネーション・セントラル」のシンクタンク部門は4月2日、2023年第1四半期(1~3月)の投資状況などをまとめたレポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公開した。

同レポートによると、2023年第1四半期のイスラエルのスタートアップの資金調達総額は、2018年以降で最も少額の約17億ドルとなった。2022年同期の約67億ドル、2021年同期の約60億ドルと比べて大幅に少ない。加えて、前述の約17億ドルの40%は、ウィズ(Wiz)、ビア(Via)、イートロ(eToro)の3社による大型の資金調達が占めている。このままの投資率が2023年末まで継続した場合、2023年通年の資金調達額は約68億ドルとなり、2022年に比べて60%減、2021年と比べると75%減となるとしている。同レポートはその背景として、世界的な不況に伴うインフレと金利の上昇、イスラエルの抱える司法制度改革に伴う政情不安の影響に言及している。

世界でも同様の傾向が見て取れる。クランチベースによると、2023年第1四半期の世界全体でのベンチャーキャピタルによる未上場企業への投資額は約760億ドルで、前年同期比で53%減少しているという。企業の成長ステージごとに見ても、どのステージの企業も前年同期比で44~54%の減少幅となっている。同社は、投資家が既存の投資先企業の支援に力を入れつつ、新たな投資機会の評価に時間をかけ、投資規模を縮小しているとしている。

(太田敏正)

(イスラエル)

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