国民ID「アダール」と納税者番号のひもづけ義務化期限が6月末までに

(インド)

ニューデリー発

2023年04月07日

インド財務省は3月28日、国民ID「アダール」と納税者番号(PAN)のひもづけ手続きを6月末までに国民に義務付けると発表した。7月1日以降、ひもづけしていない納税者は、暫定的に自身のPANを使用できなくなり、税金還付の停止や源泉税の高税率適用などの不利益を被ることになる見込みだ。ただし、(1)アッサム州、メガラヤ州、旧ジャンム・カシミール州(現・連邦直轄領)の住民、(2)所得法上の非居住者、(3)前年時点で80歳以上、(4)インド国籍ではない者は適用対象外となっている。

両者のひもづけは、2017年7月に義務化が発表され、既に5億1,000万人以上の手続きが完了している。個人に発行されているPANは計5億4,154万人分(2021年3月末時点)のことから、アダールとのひもづけが完了しているのは対象者全体の約94%となる計算だ。これまで両者のひもづけ手続き最終期限は複数回にわたって延長しており、今回ももともとは2023年3月末までに設定した最終期限が延びたかたちとなった。

政府は2010年9月以降、日本のマイナンバーに相当する国民ID「アダール」の番号12桁を国内居住者に付与している。アダールには氏名や生年月日、性別などの基本情報のほか、本人の指紋情報も登録されており、学校への入学やパスポート、運転免許証の交付、新型コロナウイルス禍の現金の直接給付など、幅広い場面で使用されている(2020年4月8日記事参照)。インド固有識別番号庁(UIDAI)によると、アダール発行数は13億5,107万人分(2022年11月末時点)に上る(添付資料図参照)。

財務省(MoF)によると、アダールとPANのひもづけ手続きに関しては、同一人物でも氏名や生年月日などの情報が完全一致しない場合や、それぞれに登録されている連絡先の携帯番号情報が異なる場合に難航する例が報告されている。UIDAIは今回のひもづけ最終期限の延長に先立って、3月15日~6月14日の3カ月間期間限定で、アダール登録情報をオンラインで更新する際の手数料を無料にすると発表しており、こうした課題への対応を図っている状況だ。

(ミナクシ・ベルワル、広木拓)

(インド)

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