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政府が国民IDを活用した直接現金給付を発表

(インド)

ニューデリー発

2020年04月08日

ニルマラ・シタラマン財務相は3月28日、新型コロナウイルス感染拡大下における緊急経済対策を発表(2020年3月27日記事参照)し、対策の1つとして、国民ID「アダール」(日本のマイナンバーに相当)などのデジタル公共インフラ(通称「インディア・スタック」)を活用した直接現金給付(Direct Benefit Transfer)を実施すると発表した。これはインド全土の貧しい農家を対象として、国民IDに紐づいた銀行口座に現金給付をするもの。約8,700万戸を対象に、2,000ルピー(約3,000円、1ルピー=約1.5円)を3回の分割で給付するため、約2,600億円×3回で総額約7,200億円規模の給付となる。1回目の支払いは4月中に速やかに実施される予定だという。

直接現金給付のメリットは、汚職防止と執行の効率性にある。インドでは、仲介人の介在や人々が銀行口座を持たないことなどにより、肝心の貧困層に補助金が届かない問題や、大規模な不正受給が長年の課題だった。このため、2009年の国民IDプロジェクト開始当時、実際に受給者に届けられている補助金の合計金額は、汚職などにより政府予算額の45%にとどまっていると試算されていた。2013年以降導入された直接現金給付の結果として、財政負担は変わらないまま、人々に届く支援は2倍に増えたと言われている。また、インドは人口の約7割が農村・地方部に住み、補助金受給のために役場に出向くことは大変な労力だった。政府にとっても、貧困層の多くが出生届や運転免許証等を持たないため、補助金給付は本人確認などで手間のかかる作業だった。しかし、直接現金給付が導入されたことにより、執行コストが縮小され、スピーディーに膨大な数の国民に現金給付することが可能となった。今回の現金給付も1人当たりの金額は3,000円と小さなもので、この小額を大量の貧困層にスピーディーに配布できるのは、国民IDをベースとするインディア・スタックの執行効率の良さによるものと言える。また、対面交付する必要がないため、給付を待つ行列が発生せず、感染拡大を防止できる利点もある。

インドは日本や欧米諸国に比べ新型コロナウイルス感染者数が少ないにもかかわらず、3月25日から全土封鎖を開始するなど、ウイルスの封じ込めに総力を挙げて取り組んでいる。この状況下、インドのデジタル産業やデジタル公共インフラの強みを生かした官民の取り組みが見られている。

(小野澤恵一)

(インド)

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