中国の車載バッテリー最大手CATLがリチウム産業協力の可能性に関しチリ政府と接触

(チリ、中国)

サンティアゴ発

2023年04月06日

チリの4月4日付「ラ・テルセラ」紙は、中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が、ロビー法(Ley del Lobby、注)を通じてチリの経済・振興・観光省(以下、経済省)と鉱業省との会合を行ったと報道した。最近では、米国電気自動車(EV)大手テスラも、同様にチリ政府と接触している(2023年3月6日記事参照)。

報道によると、3月28日にCATLの幹部2人が経済省を訪れ、ニコラス・グラウ経済相とチリのリチウム産業の発展に関して話し合った。またCATLは翌日、マルセラ・エルナンド鉱業相を訪問し、チリのリチウム産業との協力の可能性について会合を行ったと報じられている。

CATLは、プレゼンの中で「チリは最大のリチウム資源を有する国の1つであり、貿易開放性、経済的および政治的安定性の点で、近隣諸国をリードしている。CATLはリチウム電池の世界的リーダーとしてチリと協力することで、両者に類のない相乗効果をもたらすと信じている。チリが所有する資源と、CATLが数十年にわたって確立したグローバルサプライチェーンを統合する可能性は、脱炭素化のグローバルバリューチェーンにおいて、チリに新しい役割を生み出すだろう」と説明している(「ラ・テルセラ」紙4月4日)。

チリ政府は、国営リチウム企業(ENL)の設立を含む国家リチウム戦略の策定を提唱しており、同戦略の発表については3月中が予定されていた。グラウ経済相は「国家リチウム戦略の発表が遅れているのは、多くの側面があり、非常に慎重に議論を行わなければならないため」と遅延理由について言及し、4月中には発表される予定だと明らかにしている。

(注)2014年に制定されたロビイストの行動規則を規定した法律。ロビイストとその顧客はチリ政府に登録して活動に関する特定情報を開示する必要がある。

(岡戸美澪)

(チリ、中国)

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