米テスラ、チリのリチウム産業に関心、政府は近日中に国家リチウム戦略発表へ

(チリ、米国)

サンティアゴ発

2023年03月06日

3月2日付のチリ主要各紙は、米国電気自動車(EV)大手テスラがロビー法(Ley de Lobby)を通じて、チリの鉱業省、外務省、産業振興公社(CORFO)との会合を行ったと相次いで報じた。テスラは3月1日にメキシコでEVの新工場建設を発表したばかり(2023年3月1日記事参照)。

現地報道によると、テスラ幹部らが2月20日にチリを訪問し、同国のリチウム産業発展への貢献に関心を示した。また、各省と個別に行った会合では、チリのリチウム政策や、国内でリチウムを生産している米国アルベマールとテスラとの協力機会の可能性、再生可能エネルギーとゼロエミッション輸送への移行を加速するための展望などについて話し合った(3月2日付「ラ・テルセラ」紙)。

アルベマールは、国が保有するチリ北部アタカマ塩原で採掘権を取得し、リチウム生産を行っている米国企業。中国の天斉リチウムが主要株主のチリの特殊植物栄養素・化学製品メーカーSQM(Sociedad Química y Minera de Chile)も存在する。ガブリエル・ボリッチ大統領の教書演説にもあるとおり(2022年6月8日記事参照)、チリ政府は国営リチウム企業(ENL)の設立を含む「国家リチウム戦略」の策定を提唱しており、その詳細は3月中に発表されることが濃厚とみられている。

米国地質研究所(USGS)が2023年1月に発表した資料「Mineral Commodity Summaries 2023」によると、チリの現在のリチウム可採埋蔵量は世界シェア35.8%の930万トンで、世界1位を誇る。また、2022年の生産量は米国を除く世界シェア30%の3万9,000トンで、オーストラリアの6万1,000トン(同46.9%)に次ぐ第2位となっている。

(岡戸美澪)

(チリ、米国)

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