2030年までのロ中経済協力の大枠を示す共同声明に署名

(ロシア、中国)

欧州ロシアCIS課

2023年03月23日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は3月21日、ロシアを公式訪問した中国の習近平国家主席とモスクワで公式首脳会談を行った。習国家主席のロシア訪問では、「新時代の包括パートナーシップ・相互戦略関係深化」、および「2030年までのロ中経済協力の主要分野の発展計画」に関する2つの共同声明を含め、14の文書が署名された。

会談後の共同記者会見でプーチン大統領は、経済協力面での議論に関する説明に多くの時間を割いた。同大統領は「2022年の2国間貿易は前年比30%増の1,850億ドル超となった」と述べ、ロシアに経済制裁を科す西側諸国とは距離を置き、金融、産業・技術、輸送などの分野で中国との経済関係を一層強化していく姿勢を改めて示した。

経済協力の計画に関する共同声明では、a.電子商取引を含む貿易取引の拡大、貿易・投資環境整備、b.貨物・旅客輸送の迅速化を含む物流面での協力、c.両国通貨の利用拡大をはじめとする金融協力、d.エネルギー分野での包括パートナーシップ強化、e.金属・化学品などの長期供給および両国での高度加工に関する協力、f.技術・イノベーション協力、g.サプライチェーンの構築などより高度な産業協力、h.食料安保を念頭においた農業分野での協力、の8分野が主な方向性として挙げられている。

2022年のロシアからのガス輸出は、中国側の需要増を背景に前年比1.5倍となった。プーチン大統領は、モンゴル経由の天然ガスパイプライン「シベリアの力2」の早期着工を含め、中国向けの石油、天然ガス供給を拡大していく考えを示した。

産業協力面では、すでに中国の進出が進む自動車分野に続き、a.民間航空機およびヘリコプター、b.非鉄金属、c.宇宙開発、d.バイオ・医薬などの分野での協力深化に期待を示した。物流・輸送面では、シベリア鉄道や北極海航路など既存の輸送路の一層の整備とともに、両国国境での交通インフラ強化にも言及した。

安全保障、国際関係に関して、プーチン大統領は「非合法的かつ政治的意図に基づく制限措置の導入や、経済競争における不公正な手段の利用が横行していることで見解が一致した」と述べ、西側が導入する対ロ経済制裁をあらためて非難した。ウクライナ情勢に関しては、中国の提起する和平案(2023年2月28日記事参照)はロシアのアプローチと合致するもので、紛争解決の基礎となるものと評価した。

(欧州ロシアCIS課)

(ロシア、中国)

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