2022年のドイツ国内の工作機械生産額は前年比9.8%増、2023年も回復見込む

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2023年03月01日

ドイツ工作機械工業会(VDW)は29日、2022年の工作機械生産実績(推定値)と2023年の見通しなどを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2022年のドイツ国内の工作機械生産は、前年比9.8%増の1414,000万ユーロだった。過去最高だった2018年(1712,500万ユーロ)の82.6%の水準にとどまるものの、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で大きく落ち込んだ2020年(122300万ユーロ)から回復が続いている。VDWは、2023年はさらに回復し、約155億ユーロを見込むとした。2022年平均の設備稼働率は87.7%、20231月は91.1%で、長期平均の87.6%を上回る状況にある。

2022年のドイツ国内生産(注1)のうち、輸出額は867,000万ユーロで、輸出比率は68.1%となった。輸出先(注2)は欧州が50.0%を占め、特にイタリアが前年同期比19%増となった一方、東欧(ロシアを含む)は19%減だった。うちロシアは67%減となった。米州は20.4%を占め、24%増だった。アジアは28.1%を占めた。うち中国は18.7%を占めたものの、ゼロコロナ政策の影響を受け、1%増にとどまった。日本は35%増で2.1%を占めた。

VDWは工作機械業界の課題として、(1)物価高・金利上昇、(2)サプライチェーンの寸断、(3)自動車産業の構造転換、(4)熟練技術者不足、を挙げた。他方、機会としては、(1)中国におけるゼロコロナ政策の終了、(2)自動車電動化などへの投資、(3)気候保護に向けた大規模投資プログラム、などを挙げた。既に、自動車産業の構造転換、半導体不足による自動車生産の停滞などで、ドイツの工作機械の売り先としての自動車産業のシェアは、2019年の42.7%から2021年は31.1%へと大きく減少している。

2022年の工作機械輸出額ではドイツが最大

VDWは全世界の工作機械生産額(速報値に基づく推計)も公表、2022年は前年比8%増の769億ユーロとなった。国別シェアは、中国が28.1%、日本が13.1%、ドイツが12.7%。一方、2022年の工作機械市場(同)は9%増の764億ユーロで、中国が28.5%、米国が15.2%、イタリアが7.3%、ドイツが6.7%、日本が5.0%だった。2022年の全世界の工作機械輸出額は16%増の425億ユーロで、ドイツが16.7%を占めて最大、日本が16.6%と肉薄し、中国が14.4%と続いた。

(注1)他統計との比較を容易にするため、生産額(1414,000万ユーロ)から設置費用、修理費用などを控除した1274,000万ユーロを基準としている。

(注22022111月の実績値。2022111月の輸出総額は766,070万ユーロ。

(高塚一)

(ドイツ、世界)

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