欧州投資銀行、気候変動への意識調査を発表、半数超が個人消費のカーボンフットプリント制限に賛成

(EU)

ブリュッセル発

2023年03月24日

欧州投資銀行(EIB)は3月21日、気候変動に対する市民の意識調査の結果を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。今回の調査結果は、EIBが2022年8月に実施した気候変動に対する個人の行動や取り組みに焦点を当てたアンケートを基にしている(注)。

ロシアのウクライナ侵攻とその影響によるエネルギー価格の高騰やインフレの高まりは、欧州の購買力低下に対する懸念を高めている。しかし、アンケート結果によると、気候変動は引き続き大きな課題の1つとして、回答者の72%が「自身の行動の変化が気候変動に影響を与えることができる」と回答した。また、個人の行動を変えるために、政府が果たすべき役割は大きいとして、回答者の66%がより厳格な気候変動政策に賛成した(30歳未満の回答者では72%が賛成)。加盟国別でみると、「政府のより厳格な政策に賛成する」と回答した人の割合が最も高かった国はポルトガルで、84%に上った。次いでスロベニア(77%)、イタリア(76%)と、南欧が目立った。最も低かったのはオランダで48%、次いでエストニア(51%)、フィンランドとデンマーク、ハンガリー(52%)だった。

消費行動については、カーボンフットプリントの多い商品(非必需品や飛行機の移動、肉類など)の個人消費に年間の上限を持たせる措置に56%が賛成した。EIBは、同政策への賛成率は中国では83%と高く、米国で49%と約半数となっている中、欧州では所得に関係なく、過半数が賛成している点に注目した。欧州の回答者の各所得層の賛成率は、低所得層で59%、中所得層で58%、高所得層で56%以上だった。

また、回答者の51%は、肉や乳製品の消費を減らすことも温室効果ガス排出を抑制する効率的な方法だとして、肉や乳製品の購入量の制限に賛成した。

さらに、回答者の79%は食品を購入する際に、より持続可能な選択ができるように、全ての食品に気候フットプリントを表示することに賛成した。また、地元で生産され、より持続可能な食品に対して、多少高くても購入すると62%が回答し、この傾向に所得は関係なかった(各所得層の賛成率:低所得層60%、中所得層61%、高所得層65%)。

(注)EIBは気候変動に対する意識調査を2018年から毎年実施しており、今回で5回目。フランスの市場調査会社BVAと連携して実施している。2022年8月のアンケート調査は30カ国(EU27加盟国、英国、米国、中国)から2万8,000人以上の回答者(15歳以上)が参加。

(大中登紀子)

(EU)

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