韓国政府、日本の輸出管理措置に関するWTO紛争解決手続きを中断

(韓国、日本)

ソウル発

2023年03月07日

韓国産業通商資源部は3月6日、日本の輸出管理措置(注1)に対するWTO紛争解決手続きを中断すると発表した(2020年8月3日記事参照)。さらに、日韓双方が2019年7月以前の状態に戻るべく、関連の2国間協議を迅速に進めるとした。同部のカン・ガムチャン貿易安保政策官は記者会見で「(当該措置は)輸出、とりわけ半導体関連サプライチェーンに困難があったものの、2019年7月以前に戻ることへの両国の共感が形成されている状況」と述べた。

日韓間の懸案事項の1つとされる同件については、同日、全国経済人連合会(日本の経団連に相当)をはじめとする6団体(注2)が連名で「輸出管理を解決していくとした点を大いに歓迎し、これを通じて韓日関係改善と経済協力がさらに拡大することを期待する」と発表した。

このほか、産業通商資源部の発表を前に、「毎日経済」紙(3月5日付)は「日本企業の行政手続きの負担を軽減するため、一度に大量の品目を輸入しなければならないという問題が解消されれば、韓国企業のコスト負担の軽減に資する」とする韓国ディスプレー技術学会会長の発言を引用し、実務上の効果について紹介した。さらに、同紙は「一部では、日本の対韓輸出管理は実効性がなかっただけに、目に見える変化はないだろうとの意見もある。しかし、主要産業分野では、半導体を中心に世界の技術覇権が繰り広げられる中、日本との関係回復は重要な分岐点になり得る」とする産業研究院の専門研究員の見解を紹介し、日韓のビジネス全体の協力関係の進展に期待を寄せた。

(注1)経済産業省は輸出管理を適切に実施する観点から、(1) 2019年7月4日7から、特定品目(フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素ほか関連する製造技術)の包括輸出許可から個別輸出許可への切り替え、(2)同年8月13日から、韓国に関する輸出管理上のカテゴリーの見直し(ホワイト国からの削除)の措置を講じている。

(注2)全国経済人連合会、大韓商工会議所、韓国貿易協会、中小企業中央会、韓国経営者総協会、韓国中堅企業連合会の6団体。

(当間正明)

(韓国、日本)

ビジネス短信 f42c50a8d6445eaf