IMF、スリランカへの金融支援を正式承認へ
(スリランカ)
コロンボ発
2023年03月14日
IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は3月7日、2022年9月に担当者レベルで合意していたスリランカに対する4年間で総額29億ドルの金融支援パッケージに関して、2023年3月20日の理事会で取り上げると表明した。ゲオルギエバ氏は自身のツイッターにおいて、「スリランカ当局による決定的な政治的行動、および中国、インド、パリクラブを含む全ての主要な債権者からの金融保証の確保を歓迎する」とコメントした。
理事会における正式な承認を経て、IMFからスリランカに対して金融支援が実行されることになる。IMFによるスリランカへの支援は、今回が17回目。また、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など国際機関による支援にもつながるとみられている。
IMFの支援をめぐり、スリランカによる他国との2国間債務の再編、およびスリランカ国内の構造改革が大きな焦点となっていた。債務再編に関しては、1月以降にインドや中国、先進国によるパリクラブが相次いで支持を表明していた(2023年2月7日記事参照)。米国などが、中国による債務再編が不十分と指摘していたため、スリランカ政府は、あらためて中国から債務再編の同意を得ることとなった。スリランカ国内における構造改革に関しては、ラニル・ウィクラマシンハ大統領によると15項目の事項に対応したという。
IMFの支援承認後には、外国政府などの公的債権者および民間債権者と、債務の再編内容の確定に向けた具体的な交渉がなされていく。格付け会社のフィッチ・レーティングスは、IMFによる金融支援がスリランカの対外流動性の向上につながると好意的にとらえる一方で、公的・民間債権者との債務再編の合意時期は依然として不確かだとしている。フィッチ・レーティングスは現在、スリランカの長期外貨建て発行体格付けを「制限付きデフォルト」としているが、デフォルトからの脱却の判断は民間債権者との債務再編交渉後になるとみている。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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