インドと中国、スリランカへの債務再編を決定

(スリランカ、インド、中国、米国)

コロンボ発

2023年02月07日

インド政府は116日、IMFによるスリランカに対する総額29億ドルの金融支援パッケージを支持するとIMFに通知した。今後、インド輸出入銀行がスリランカとの債務に関して、返済期限の延長や利率の引き下げなどの救済策を取ることになる。

120日には、インドのスブラマンヤム・ジャイシャンカール外相がスリランカを訪問し、スリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領、アリ・サブリー外相と共同記者会見を開いた。ジャイシャンカール外相は「インドは他国を待つのではなく、自分たちが正しいと思うことをすることにした。われわれは、スリランカが前進する道を開くため、IMFへの金融保証を拡大した。これにより、スリランカの立場が強化されるだけでなく、すべての2国間債権者が平等に扱われることを期待する」と述べた。

続いて、中国輸出入銀行が2022年と2023年を返済期限とするスリランカの債務支払いを猶予するとともに、IMFによる金融支援を支持するという文書をスリランカ政府に発出したとロイター通信(2023124日)が報じている。これまでにスリランカは、インドや中国など主要債権国との交渉が長引いていることで、IMFによる金融支援の正式承認が遅れていた(2022年12月28日記事参照)。インドと中国による債務再編決定は、スリランカがIMFによる金融支援を受ける上での前進といえる。

他方で、中国による措置がIMFで融資の承認を受ける上では不十分という指摘も報道されている。21日にラニル・ウィクラマシンハ大統領と面談した米国国務省のビクトリア・ヌランド政務次官は「中国がこれまでにスリランカに提示したものは十分ではない。信頼できる具体的な保証を提供することを期待する」と指摘している。これに対して、中国外交部の毛寧報道官は2日、「スリランカ側は中国輸出入銀行のスリランカに対する支援文書を高く評価している」と反論している。

(大井裕貴)

(スリランカ、インド、中国、米国)

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