タイ・オーストラリア自由貿易協定、発効19年目を迎えアップデートへ

(タイ、オーストラリア)

バンコク発

2023年03月29日

タイ商務省貿易交渉局は3月6日、同月2日に実施した第4回タイ・オーストラリア自由貿易協定合同委員会(TAFTA JC)の結果を公表した。タイ・オーストラリア自由貿易協定(TAFTA)は、2005年1月に発効してから19年目に入った。タイの輸出者にとって4番目に利用額が大きいFTAで、日タイ経済連携協定(JTEPA)に次いで活用が進んでいる(2023年3月16日記事参照)。

タイ・オーストラリア間の貿易額は、2022年には183億8,900万ドルとなり、発効時の2005年(64億2,700万ドル)に比べて2.9倍に増えた。なお、商務省によれば、オーストラリア向けの輸出額が大きいタイの輸出事業者上位10社(2022年)のうち、7社は日系企業であるなど、オーストラリア向けに輸出を行っている在タイ日系企業は多い。

合同委員会では、市場アクセス、原産地規則、衛生植物検疫(SPS)措置、食品規格に関する委員会など、複数の委員会の進捗状況について議論が行われた。2023年中に、関税分類の基準を2002年版(HS2002)から2022年版(HS2022)に大幅アップデートを行う。また、タイ産アヒルの加工品、オーストラリア産アボカドについて、相互貿易の拡大に向け、SPS認証を加速させる。

物品貿易以外では、両国は労働分野での協力強化に関心を示した。タイ側は、タイ式マッサージ、調理人、高齢者介護、スマート農業、デジタルワーカー、スタートアップ、ホテルといった分野で、タイ人労働者のオーストラリアでの就労を勧めたい意向だ。また、オーストラリア側は、造園や測量の分野での労働サービス提供に意欲的だったという。

両国の貿易担当相が2022年11月に締結した、タイ・オーストラリア戦略的経済協力アレンジメント(SECA)の進捗も確認された。SECAは2国間の貿易、投資、経済関係をさらに強化するための覚書で、特に農業、観光、健康、教育、投資、グリーン経済、クリエーティブ経済、デジタル経済など8分野での協力強化に向け活動計画を実施し、2023年5月に完了する予定だ。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、オーストラリア)

ビジネス短信 e48260829c6aa6a8