英国上場企業の女性役員に関する報告書を発表、割合は増加も部門には偏り

(英国)

ロンドン発

2023年03月15日

英国で2月28日、政府の支援を受けた報告書「FTSE 女性リーダーに関する調査結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が発表された。調査結果によると、ロンドン証券取引所(LSE)の「FTSE350(注1)」構成企業の取締役会のうち40.2%を女性が占め、初めて40%を超えた。一方で、リーダーシップ層(注2)まで対象を拡大すると、上位350社では33.5%、上位50社においては34.3%となった。2025年までに、上位350社のリーダーシップ層の女性割合を40%とするという目標は達成される見込みとした。

今回の調査で、英国の時価総額上位100社の中で最も女性の割合が高かった、老舗服飾ブランドのバーバリーは、新任マネジャーの能力開発プログラム(NMDP)や幹部育成プログラム(EDP)を通じた管理職の能力向上と組織の多様化を図っている。同社は、2020年度から匿名履歴書の試験導入なども実施している。バーバリーに次いで女性の割合が高かった、英国ファストファッションブランドのネクストは、人事部門が支援し従業員主導の社内ネットワークを複数設立、ダイバーシティ&インクルージョンに関する取り組みを進めている。

報告書では、企業主導という英国の手法がジェンダーバランス改善において功を奏しているとされた。また、主要取引所ごとの上場企業の取締役会に占める女性割合でみると、英国がフランスに次ぐ2位とした。一方、OECDの調査では、英国の上場企業の取締役会に占める女性割合は、G7諸国の中ではフランス、イタリアに次いで3位だった(添付資料図参照)。

しかし、FTSE350でCEO(最高経営責任者)に抜擢されている女性は21人にとどまっている。また、部門別でみると、人事については女性取締役の割合が約7割となっている一方、財務や情報などの部門では2割弱にとどまっているなど、偏りもみられる。

(注1)ロンドン証券取引所(LSE)における株式指標。LSEに上場する企業のうち、時価総額上位350位の企業の銘柄で構成されている。

(注2)執行役員およびその直属の部下。

(増井薫乃、山田恭之)

(英国)

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