リヤドで第2回「金融セクター会議」開催、イランへの投資にも言及

(サウジアラビア、イラン)

リヤド発

2023年03月22日

サウジアラビア・リヤドで3月15~16日、第2回「金融セクター会議(Financial Sector Conference)」が開催された。大規模金融会議の同イベントは、サウジアラビア財務省(MoF)、サウジアラビア通貨庁(SAMA)、資本市場庁(CMA)が主催し、会議には世界から3,000人を超える専門家が参加した。

2日間の日程を通じ、基調講演やパネルディスカッションが開催され、フィンテックから、資本市場、イスラム金融まで、金融・財政に関する幅広い分野について議論する場面が見られた。また、金融関連の政府機関やフィンテック企業、ベンチャーキャピタルなど複数の政府・民間企業が金融分野における将来的な協力に向けた覚書を披露した。

会議で講演したムハンマド・ビン・アブドゥッラー・アール・ジャドアーン財務相は、サウジアラビアでは「ビジョン2030」における経済多様化が進む中、金融およびデジタル部門が繁栄しており、将来的に中東地域における金融セクターのハブとなると述べた。また、サウジアラビアの銀行セクターの資産が2022年末には2019年より37%増加の3兆6,000億リヤル(約126兆円、1リヤル=約35円)に達しており、フィンテックの企業数は2019年の20社から2022年には147社に増加したと発表した。

また同財務相は、先日発表されたイランとの外交関係正常化に向けた合意(2023年3月13日記事参照)にも触れ、「イランには多くの機会があり、親善が続く限り、われわれは多くの機会を提供する。外交関係の回復後、迅速に投資を実施する」と発言した。

分科会で行われた参加者向けのクイック・アンケートでは、約23%が中東アフリカ地域の金融セクターのハブとして一番進んでいる都市をリヤドと回答した。一方、今後の投資機会を捉えるうえで、「金融関連の規制」と「法制度の整備」が一番の課題と回答した参加者は合わせて4割以上を占めた。

登壇者の1人である「金融セクター開発プログラム(Financial Sector Development Program)(注)」のファイサル・アルシャリフ氏は「サウジアラビアは中東・アフリカ地域において経済規模が一番大きく、アンケートの回答結果には驚いていない。海外からさらなる投資を呼び込むためにも、金融セクターの規制や法システムの改善・強化に努めていきたい」と述べた。

(注)「ビジョン2030」のうちのプログラムの1つ。サウジアラビアの経済発展を支え、収入源を多様化し、貯蓄や投資を活性化するために、多様で効果的な金融セクターを開発することを目的としたプログラム。

(位田陸)

(サウジアラビア、イラン)

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