米主要港、1月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比4.4%増と5カ月ぶり増加も2023年上半期は前年を下回る見通し

(米国)

ニューヨーク発

2023年03月14日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(3月8日)によると、2023年1月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比4.4%増の181万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、2022年8月以来、5カ月ぶりの増加となった。NRFによると、国内の主要港における輸入貨物量は、新型コロナウイルス感染拡大以来、2023年2月に最低水準に落ち込むと見込まれているが、3月から再び緩やかに上昇し始める見通しだ。

発表の中で、NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は「米国経済には依然として多くの不確実性の要素はあるが、今後数カ月間にわたって輸入品はわずかな伸びを示す」との見通しを述べた。また、「成長は好ましい兆候だが、(取扱貨物量の)水準はまだ通常よりはるかに低く、小売業者は消費者の需要に見合った在庫を確保するために慎重な姿勢を崩さないだろう」との見方を示した。

また、ハケット・アソシエイツの創設者ベン・ハケット氏は「小売業者は、個人消費の予想水準がより明確になった時点で、新しい季節商品の在庫を調整することを見越して、在庫を減らした状態を維持している」「輸入量は依然として低いものの、労働市場の逼迫と資金の上昇により、消費者はインフレの影響を吸収し、支出し続けることができる」と指摘している。

グローバル・ポート・トラッカーの見通しでは、2023年2月の輸入コンテナ量は前月比13.6%減の156万TEU、前年同月比26.2%減と大幅に減少すると見込まれている。新型コロナ禍によるアジアでの工場閉鎖や米国で大半の店舗が閉鎖された2020年5月(153万TEU)以来、最も減少幅が大きくなるとしている。NRFによると、2023年3月以降、貨物の取扱量は徐々に増加し、2023年6月には月間輸入量が200万TEUと、2022年10月以来の高水準まで回復するが、2022年の取扱量を下回る水準にとどまると予想している。

なお、NRFは2023年上半期の貨物取扱量について、前年同期比19.5%減の1,090万TEUになると見込み、2022年の1,350万TEU(2022年8月12日記事参照)より減少するとしている。

(注)主要輸入港には、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港が含まれている。

(樫葉さくら)

(米国)

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