8割が中国で再投資を実施、華南米国商会が調査結果を発表

(中国、米国)

広州発

2023年03月06日

中国の華南地域にある米国企業などで構成する華南米国商会は2月27日、同地域の企業のビジネス環境に関する特別報告書を発表した(注1)。アンケート調査の有効回答は210社で、回答企業のうち43%は中国系企業、28%は米国系企業、10%は欧州系企業。

報告書によると、中国での2022年の営業利益について、「前年より増加した」と回答した企業(注2)は45%と、2021年の結果(63%)から18ポイント下落した。「前年より減少した」とした企業(注3)は33%と、2021年(16%)から17ポイント上昇した。業種別でみると、特に「消費財・消費者向けサービス業」で「減少した」との回答割合が42%と相対的に高かった。

2022年に中国で再投資を行ったと回答した企業は80%で、前年から1ポイント上昇。うち、前年と比較して「投資が増加した」とした企業は44%(前年比14ポイント下落)、「減少した」とした企業は21%(前年比15ポイント上昇)だった。中国での投資を増やした理由(複数回答)の1位は「中国市場の潜在力」(47%)、次いで「産業クラスター効果(資源、インフラ、労働力、生産能力などの優位性)」(24%)、「政策的優遇」(24%)となった。

他方で、中国から移転の意向があるという回答は26%(前年比3ポイント上昇)と、2年連続で上昇した。うち、投資プロジェクトの30%以下を中国以外の国・地域に移転するとの回答が84%を占め、中国から完全に移転・撤退すると回答した企業はなかった。移転先の地域(複数回答)としては、「アジアのその他の市場」が最も多く(51%)、次いで「北米市場」(33%)だった。

2023年の米中関係の見通しについて、米国系企業では「楽観」または「やや楽観」が21%、「悲観」または「やや悲観」が44%だった一方、中国系企業では「楽観」または「やや楽観」が32%、「悲観」または「やや悲観」が24%と回答。米国系企業でより悲観視する傾向がみられた。

華南米国商会のハーレー・セアディン(Harley Seyedin)会長は同報告書を発表した会見で、「新型コロナウイルスの影響は中国経済に深刻なダメージを与えたが、一時的なものだ。中国政府が感染症対策の最適化を進めるにつれて、中国経済は回復に向かい、予想を上回る速さで、とてつもないダイナミズムを発揮するだろう」と言及。2023年の中国経済への期待感を示した。

(注1)調査は2022年9月22日~12月14日に同商会の会員企業に対してアンケート形式で行った。回答企業の業種別構成比をみると、34%が製造業、22%が消費財・消費者向けサービス業(うち卸・小売業が9%)、35%が金融など専門サービス業となっている。企業規模別では、大規模企業が40%、中・小規模企業が61%だった。また、回答企業の75%が中国市場への製品・サービス提供を主業務とし、25%が輸出を主とする製造業。うち、米国市場向けを主とする割合は63%だった。

(注2)「15%以上増加」と「1~15%の範囲で増加」の回答の合計。

(注3)「15%以上減少」と「1~15%の範囲で減少」の回答の合計。

(田中琳大郎)

(中国、米国)

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