2023/2024年度予算案を発表、電力公社の財政と電力不足改善に焦点

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2023年03月22日

南アフリカ共和国のイノック・ゴドングワナ財務相は222日、2023/2024年度(20234月~20243月)予算案を発表した。同大臣は、不透明な世界情勢だが、南アは引き続き経済成長と財政健全化を促進する政策を優先して実行していくとし、経済成長の3本柱の取り組みとして、安定したマクロ経済の確立、エネルギーや運輸など主要産業の改革、質の高い公共サービスの提供を挙げた。

前年度の2022/2023年度の税収見込みは16,900億ランド(約121,680億円、1ランド=約7.2円)で、中期予算方針時の見込みを60億ランド上回る。増収理由は法人税や個人所得税、関税などの税徴収額の増加だ。一方、公的債務(グロス)は高水準にあり、2022/2023年度は47,300億円ランド、2025/2026年度は58,400億ランドに達するとの予測だ。

今回の予算演説では、電力公社エスコムの改革や電力危機からの脱却に重点を置いた。ゴドングワナ大臣は、財務状況の改善や設備投資・メンテナンスの持続のため、エスコムに対して2,540億ランドの救済措置を発表。この措置には、公的資金が不正使用されないよう厳しい条件を課しており、送電と配電網の設備投資を優先的に行ったり、電力供給力向上のために既存の発電所のメンテナンスに注力したり、負債・利子の返済に用いたりすることなどが求められる。

また、ゴドングワナ大臣はオフグリッド(送電線につながらない分散型電源)での電力供給促進のため、税制上の優遇策を発表した。企業はグリーンエネルギーへの投資額の125%までを課税所得から控除することができるようになる。対象となる投資規模に制限はなく、今後2年間が対象期間だ。個人の場合は、屋上に太陽光発電設備を設置すると、投資額の25%、15,000ランドまでを上限として課税所得から差し引くことが可能。対象期間は1年間で、ともに31日から適用。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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