米上院議員、自動車部品大手に質問状、新疆ウイグル自治区に関わるサプライチェーン管理を巡り

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年03月30日

米国連邦議会上院で通商を所管する財政委員会のロン・ワイデン委員長(民主党、オレゴン州)は3月28日、自動車のサプライチェーンと中国・新疆ウイグル自治区との関連を巡る調査の一環として、大手の自動車部品メーカーと自動車メーカーに質問状を送付外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。質問状は各社のサプライチェーンにおける強制労働への対応の詳細を問う内容となっており、4月11日までの回答を要請している。

質問状はコンチネンタル、デンソー、マグナ・インターナショナル、ロバート・ボッシュ、ゼット・エフ・フリードリヒスハーフェン(ZF)の自動車部品メーカー5社と、ホンダ、フォード、ゼネラルモーターズ(GM)、メルセデス・ベンツ、ステランティス、テスラ、トヨタ、フォルクスワーゲン(VW)の自動車メーカー8社に送られた。

ワイデン委員長は2022年12月にも同自動車メーカー8社に対し、サプライチェーンにおける新疆ウイグル自治区の関与の有無などを質問する書簡を送っている(2022年12月26日記事参照)。同委員長は声明で、12月の質問に対する各社の回答から各社のサプライチェーン管理について十分な情報を得られなかったと指摘。また、自動車部品メーカーに宛てた質問状の中で「(12月の)初期調査の結果、自動車メーカーはサプライチェーンに強制労働が含まれていないことを確認する上で、直近のサプライヤーに大きく依存していることが分かった」と述べ、部品メーカーに調査対象を拡大した理由を説明した。

他方、ワイデン委員長は自動車メーカーに対しては、サプライヤーの外国語名リストの保持やそれを用いたデューディリジェンスの実施について新たに尋ねた。そのほか、各社の1次(ティア1)サプライヤーのうち、直接または間接的に中国にサプライヤー〔自動車メーカーからみて2次(ティア2)サプライヤー〕を持つ企業を5社挙げるよう求めた。自動車メーカーへの追加調査の理由として、同委員長は上院財政委員会が2月16日に行った通商関連法の執行などに関する公聴会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、単に新疆ウイグル自治区から物品の直接輸入を控えたり、サプライヤーに連鎖的に同様の約束をさせたりするだけでは、同自治区が関与する製品の輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法(UFLPA、2022年8月5日付地域・分析レポート参照)などの法律を順守するには不十分なことが明らかになったと説明している。

自動車関連のサプライチェーンを巡っては、特にアルミニウム製品がUFLPAの執行対象になっているもようだ。海運大手のAPモラー・マースクは1月、米国税関・国境警備局(CBP)がUFLPAに基づいてアルミニウム製品の差し止めを始めたとの顧客向け勧告を発表し、自動車関連企業などに法令順守を呼びかけている。なお、CBPが3月に公開したUFLPAの執行データによると、これまでに輸入差し止めなどの対象となった貨物は自動車・航空宇宙産業で6件、卑金属(アルミニウムを含む)産業では41件となっている(2023年3月17日記事参照)。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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