ワイデン米上院議員、自動車大手8社に新疆ウイグル自治区との関連で質問状送付

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年12月26日

米国連邦議会上院で通商を所管する財政委員会のロン・ワイデン委員長(民主、オレゴン州)は12月22日、在米の自動車大手8社宛てに、各社のサプライチェーンと中国の新疆ウイグル自治区との関連について質問状を送付したと公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

質問状は、フォード、ゼネラルモーターズ(GM)、ホンダ、メルセデス・ベンツ、ステランティス、テスラ、トヨタ、フォルクスワーゲン(VW)の8社に送付され、回答期限は2023年1月13日となっている。質問内容は「自社のサプライチェーンが新疆ウイグル自治区とつながっているかどうかを判断するために、原材料や採掘、加工、部品製造のサプライチェーンのマッピング、分析を独自に行っているか」など、主に7項目から構成されている。また、サブサプライヤーや第三国のサプライヤーのつながりまで問う踏み込んだ内容となっている。ワイデン議員は調査開始のきっかけとして、英国のシェフィールド・ハラム大学が12月に公表した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを挙げている。同報告書は、中国政府が原材料の採掘と加工、自動車部品の製造を意図的に新疆ウイグル自治区に移し、国際的なサプライチェーンを抑圧的なプログラムや組織的な強制労働にしばりつけたと指摘している。ワイデン議員は「デューディリジェンスを踏まえ、部材が強制労働と無関係なことを確認できなければ、自動車メーカーは新疆ウイグル自治区で採掘・生産された部材を含む自動車を米国内で販売してはならない」とした。また、自動車のサプライチェーンが複雑なことを認識していると述べる一方、「だからと言って、米国は人権と国内法令を守るという基本的な約束を譲歩することはできない」と強調した。自動車専門誌「オートモーティブ・ニュース」(12月22日)の取材に対し、GMはサプライヤーとの契約で、強制労働や腐敗慣行などに基づく製品・サービスの供給を禁止するなど、デューディリジェンスを徹底していると回答している。このほか、ホンダ、ステランティス、VWも強制労働への対応に注力していると回答している。

米国では6月、新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止とするウイグル強制労働防止法が施行された(2022年8月5日付地域・分析レポート参照)。税関・国境警備局(CBP)は重点的に取り締まる分野として、綿、トマト、太陽光発電製品向けポリシリコンを挙げていたが、今回のような議会からの問題提起を受け、対象分野が今後拡大していく可能性もある。2023年3月18日からは、中国製品の輸入通関時に製造者の郵便番号の申告を義務付ける予定で、執行強化の動きが続いている(2022年12月22日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、中国)

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