京都発、伝統工芸品展示会「TASTES OF KOGEI」、シドニーで初開催

(オーストラリア、日本、京都)

シドニー発

2023年03月14日

オーストラリアのシドニーで21920日、日本の伝統工芸品の展示会「テイスツ・オブ・コウゲイ(TASTES OF KOGEI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が初開催され、京都府で陶磁器を製造している企業(窯元)などが出展した。

写真 展示会場にあるレストラン「クロ」では、実際に日本の陶磁器を使い、料理を提供した(ジェトロ撮影)

展示会場にあるレストラン「クロ」では、実際に日本の陶磁器を使い、料理を提供した(ジェトロ撮影)

この展示会は、伝統工芸やアート分野のコーディネーターとして活躍する淺井忠博氏が京都府の伝統産業産地振興拠点創出事業費補助金外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを活用して主催し、現地卸・小売業の「シンプリーネーティブ(Simply Native外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」、現地飲食業の「クロ(KURO外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」と、現地旅行業の「リキズツアーズジャパン(Riki's Tours Japan外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が協力して実現した。日本からは、京都府で京焼・清水焼といった陶磁器を製造している7企業が参加。4人の職人が商談や商品販売を行った。参加した企業の大半は海外での展示会参加は初めてという。

写真 陶磁器職人が商品について直接説明(ジェトロ撮影)

陶磁器職人が商品について直接説明(ジェトロ撮影)

展示会では、一般来場者がその場で商品を購入できる即売会だけではなく、現地飲食・宿泊事業者が参加企業(窯元)にカスタムオーダーを行うことのできる商談会でもあった。2日間の期間中に計20人以上の飲食事業者と、計500人以上の一般来場者が展示会に訪れた。カスタムオーダーを検討する現地飲食事業者からは、商品に関する質問や要望、実際に日本の窯元を見学したいという声も聞かれた。また、ECサイトでキャンドルやデュフューザーといった商品を扱う事業者も来場し、職人たちと商談を行っていた。即売会で扱っていた商品は約90140オーストラリア・ドル(約8,10012,600円、豪ドル、1豪ドル90円)と高価格帯が比較的多かったが、デザイン性や品質の高さ(職人技)、商品のストーリー性(文化的な背景)に納得した一般来場者が次々と商品を購入していた。

写真 デモンストレーションでは鮮やかな職人技に大きな拍手が巻き起こる場面も(ジェトロ撮影)

デモンストレーションでは鮮やかな職人技に大きな拍手が巻き起こる場面も(ジェトロ撮影)

参加した職人からは、「初開催にもかかわらず、人種や年齢もさまざまな現地の多くの人たちに来てもらえたことに大変驚いている」「海外発送費や関税などのコストや手間はかかるが、日本よりもオーストラリアは物価が高く、国内より高価格で販売できる。市場として魅力的だ」「現地の習慣に合わせ、金属製カトラリーや食洗器にも対応した陶磁器を作る必要がある」「日本好きな現地の人たちが多いだけではなく、日本以上に作り手(職人)へのリスペクトがある人が多いと感じた」など、オーストラリア市場の可能性に手応えを感じたというコメントが寄せられた。

展示会を主催した淺井氏は「日本の価値観を海外と共有するリアルな場を作れたことは大変良かった。今後も伝統工芸に限らず、日本と海外をつなぐ面白いイベントを継続して行っていきたい」と今後の展望を語った。

写真 京都府・伏見の酒をこだわりの陶磁器を使って試飲できるコーナーも(ジェトロ撮影)

京都府・伏見の酒をこだわりの陶磁器を使って試飲できるコーナーも(ジェトロ撮影)

(児島亨)

(オーストラリア、日本、京都)

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