中国米国商会レポート、グローバルな投資計画での中国の重要性が大きく低下

(中国、米国)

北京発

2023年03月30日

中国米国商会は3月5日、中国でのビジネス状況に関する「チャイナ・ビジネス・クライメート・サーベイ・レポート(China Business Climate Survey Report)」の2023年版を発表した。同レポートは2022年10月中旬~11月中旬に会員企業319社(注)に行った調査を基にしており、25年連続で発表されている。

グローバルな投資計画での中国の重要性について、「第1の目的地」とした企業は14%(前年比8ポイント減)、「上位3位に入る目的地」は31%(7ポイント減)といずれも減少し、両方を合わせた割合は調査開始以来で初めて50%を下回った。

また、2023年の中国での投資計画について、「拡大計画はない」が46%(17ポイント増)と大幅に増加した。同時に「投資を減少する」は9%(4ポイント増)と限定的な増加にとどまった。

中国外への生産・調達の移転について、「計画はない」が74%(9ポイント減)で最大だったが、「移転を検討している」が12%(5ポイント増)、「既に移転した」が12%(5ポイント増)と、合わせて約4分の1を占めた。

移転を検討、もしくは既に移転した理由については、「リスク管理」が60%(40ポイント増)、「新型コロナウイルス予防措置」が57%(40ポイント増)といずれも大幅に増加した。同時に、「米中貿易摩擦」が43%(14ポイント増)、「地政学的緊張の上昇」が20%(選択肢として初)と、米中関係を含む国際情勢の変化も大きく影響している。

移転先については、「米国」が30%(6ポイント増)、「アジアの発展途上国」が29%(1ポイント増)、「アジアの先進国」が15%(2ポイント減)と、米国回帰の動きが強まっている。

また、米中対立の具体的な影響について、「影響がない」が27%(15ポイント減)と大幅に減少した一方で、「投資決定の遅延・取り消し」が29%(11ポイント増)、「サプライチェーンの調整」が18%(7ポイント増)、「製造の一部・全ての中国外への移転」が11%(6ポイント増)に増加している。

3月1日に開催されたレポートの発表イベントで同会幹部が参加したパネルディスカッションでは、中国ビジネスのリスク増大などについて議論されたと同時に、「米国は中国との経済的な関係を通じて成長し価値を得ている」との見方や、中国の地方政府は積極的に外資系企業を誘致しているとの見方が示されている。

(注)テクノロジー・R&D分野が65社、資源・工業分野が67社、消費関連分野が83社、サービス業が78社、その他が26社となっている。

(河野円洋)

(中国、米国)

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