ウクライナ復興投資に関心高まる、ジェトロがセミナー

(ウクライナ、ポーランド、日本)

欧州ロシアCIS課

2023年03月09日

ジェトロは、在ポーランド日本大使館およびポーランドのコハンスキ&パートナーズ法律事務所との共催で、セミナー「(新たな)ウクライナの(再)構築『日本企業のためのウクライナとポーランドの戦中と戦後の協力関係』」を3月2日に開催した。ウクライナとポーランドの専門家が登壇し、戦争の被害状況、ウクライナ経済の現在と将来を踏まえたニーズと有望分野、ウクライナ復興に向けた入札などについて講演した。

講演に先立ち、宮島昭夫駐ポーランド大使がスピーチし、ウクライナ支援物資の9割がポーランドを通過するなど、ポーランドはウクライナ情勢における最大の戦略拠点ハブになっていると説明した。続いて、ジェトロ・ワルシャワ事務所の石賀康之所長が、ウクライナに関する問い合わせ内容が、最近は戦後復興支援ビジネスにシフトしてきていると述べた。

コハンスキ&パートナーズのウクライナ・デスク主任で元リビウ州知事のマルキヤン・マルスキー氏によると、ウクライナのインフラ被害総額は現在約1,400億ドル、復興費用は5,000億~6,000億ユーロと見積もられている。戦時下でもエネルギーインフラと避難所、住宅、病院、学校などの国民生活に関わる施設の復興が急務で、これら分野への投資が着実に増えている。(ロシアによる)侵攻開始以降の事業再開と起業を支援するウクライナ政府の投資プラットフォーム「アドバンテージ・ウクライナ」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが立ち上げられ、内外の投資家から多数の問い合わせが寄せられている。有望分野としてIT、農業・食品加工、鉱工業、インフラ、物流、エネルギーなどが注目されている。

続いて、公共調達法務主任のヤクブ・クリサ氏が、復興事業に関する公共調達への入札について解説した。ウクライナ政府のほかに世界銀行や欧州復興開発銀行(EBRD)などの国際機関やEU加盟国、米国による調達があり、各機関の公式サイトで紹介されている。入札期間が短く競争率が高いのが特徴で、最新情報の把握と応札書類提出に向けた迅速な行動が要求される。外国企業が長期的に復興に関わっていくには、ウクライナ国内拠点とウクライナ語ができるスタッフの確保、実績あるパートナーとの提携が必須だ。

ジャパン・デスク主任を務めるヤツェク・コジコフスキ氏は、多額の民間資金の誘致に不可欠な投資リスク最小化の枠組みを紹介した。ポーランドには、日本の国際協力銀行(JBIC)に相当する国家開発銀行(BGK)と輸出信用保険会社(KUKE)がある。JBICとBGKは、2022年9月にポーランドおよびウクライナ周辺国を含む第三国でのエネルギー安全保障、気候変動対策などの分野における連携強化を目的とする覚書を締結した。日本とウクライナは2015年2月に投資保護協定を締結している(同年10月発効)。また、2014年に設立された内閣の常設諮問機関ビジネスオンブズマンカウンシル(BOC)が戦時下でも活動しており、外国投資家を保護している。

(小林圭子)

(ウクライナ、ポーランド、日本)

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