ドイツ経済諮問委員会、2023年GDP成長率は0.2%と予測

(ドイツ)

ベルリン発

2023年03月27日

ドイツ政府の経済諮問委員会(通称「五賢人委員会」)は3月22日、経済予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同国の2023年の実質GDP成長率予測は0.2%と、前回予測(2022年12月1日記事参照)のマイナス0.2%から0.4ポイント上方修正した。2024年は1.3%と予測している。エネルギー供給に関する不確実性が減退し、エネルギーの卸価格が下落したことで、経済成長の短期的な見通しは改善したとの見方を示した。しかし、「インフレによる購買力の低下、資金調達環境の厳しさ、ドイツ国外からの需要の回復の遅れがなければ、今年と来年の経済はより強く成長するはずだった」と、モニカ・シュニッツァー委員長は述べた。

インフレ率について、同委員会は、2023年が6.6%、2024年が3.0%と予測する。なお連邦統計局は、2023年1月のインフレ率を前年同月比8.7%、2月も8.7%と発表している。マーティン・ベルディング委員は「生産者物価の上昇と予想される賃金引き上げにより、消費者物価のインフレは来年も高止まりが続く可能性が高い」との見解を示した。

また名目賃金について、同委員会は、最近の賃金引き上げ交渉の妥結結果(2023年1月5日記事参照)を反映し、2023年に5.9%増、2024年には4.5%増と大幅な上昇を予測する。一方で、「2023年の賃金の伸びはインフレ率を下回る。実質賃金は2024年まで上昇しないと予想され、実質賃金の上昇に伴う個人消費の刺激が期待できるのは、それ以降となる」とアヒム・トルーガー委員は述べた。

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のマーティン・バンスレーベン会長は同日、経済諮問委員会の経済予測に対するコメントを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。「国による包括的な支援策、気候変動に対応したインフラ投資の強化、新型コロナ危機からの回復効果が、経済状況の改善をもたらした」と述べた。一方で、「エネルギー価格の高騰、高インフレによる金利上昇、世界需要の減退、熟練労働者の不足、なかなか完了しない行政手続き、金融市場の安定性に対する懸念など、構造的なリスク要因や不確実性に覆われている」として、経済成長を鈍化させる要因を指摘するとともに、テクニカルリセッション(注)に陥る恐れがあるとの見解も示した。DIHKは2023年の経済成長率を0.0%と予測している。

なお、ドイツ連邦政府やドイツの主要研究所などによる2023年の実質GDP成長率の予測は、マイナス0.1~0.5%となっている(2023年3月22日記事参照

(注)2四半期連続での前期比マイナス成長。

(中村容子)

(ドイツ)

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