日本とベトナム、外交樹立50周年記念の経済セミナー開催

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2023年03月22日

日本とベトナムの外交関係樹立50周年の日本側実行委員会とベトナム計画投資省(MPI)は37日、「日越外交関係樹立50周年記念ハイレベル経済セミナー」をハノイ市内で開催した。ファム・ミン・チン首相や市川秀夫・経団連日越経済委員会委員長、山田滝雄・駐ベトナム大使らをはじめ、両国の官民関係者が出席。「未来に向けた日越経済関係の新しい可能性」をテーマに、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)など未来に向けたパートナーシップについて議論した(注)。

 冒頭の基調講演で、チン首相は、日本からベトナムに対して5,000件、700億ドルを超える直接投資をはじめ、19739月の外交関係樹立以降の日本の官民の取り組みがベトナムの社会経済発展に大きく貢献したと述べた。また、今後は戦略的なインフラ開発のため、特に交通インフラなどで日本企業にさらなる投資、協力を期待したいと呼びかけた。

特別講演では、前田匡史・国際協力銀行(JBIC)会長が「ベトナムが掲げる2050年までのカーボンニュートラル達成という野心的な目標には膨大な資金が必要となる。ベトナムへの支援を強化し、目標達成に貢献したい」と発言し、エネルギー分野の日越協力の可能性について述べた。また、ダン・ホアン・アン商工次官は「ベトナムの電力消費はこの20年、毎年のように2桁の増加率と一層のニーズが高まるとの予測の中、実情に合った電力開発は急務」として、エネルギー転換、再生エネルギー開発分野などで日本企業の投資を呼びかけた。

パネルディスカッションは、DXをはじめとする新たな分野の協力関係がテーマとなった。法定通貨のデジタル化プラットフォームを開発するGVEの房広治社長は「日本で小さくビジネスを生むよりも、ベトナムと組む方がその後のマーケティングや事業拡大も期待される。デジタル分野のベトナム企業はレベルが高い」と言及。日本企業とベトナム企業の協業で米国や中国に対抗するイノベーションを創出する可能性もあると展望を語った。

写真 参加者による集合写真(日越外交関係樹立50周年日本側実行委員会提供)

参加者による集合写真(日越外交関係樹立50周年日本側実行委員会提供)

写真 基調講演をするチン首相(日越外交関係樹立50周年日本側実行委員会提供)

基調講演をするチン首相(日越外交関係樹立50周年日本側実行委員会提供)

(注)セミナーでは上記プログラムのほかに、「日越共同イニシアチブ」第8フェーズ最終評価会合も実施された(2023322日記事参照」)。

(蛇見拓斗)

(ベトナム、日本)

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