スーダン、130品目の関税引き上げを実施

(スーダン)

カイロ発

2023年03月16日

スーダン関税局は2 月22日、2023年度(2023年1月1日~12月31日)予算の赤字見込みをカバーするため、食料品、生活必需品、工業製品など計130品目の関税引き上げを発表した。今回の改正は政府の決定を受けたものとし、関税の引き上げは直ちに施行された(添付資料表1参照)。なお、小麦など一部品目については関税が引き下げられている(添付資料表2参照)。

スーダンでは2月1日、アブデル・ファッターハ・ブルハーン軍最高司令官が議長を務める主権評議会と暫定内閣評議会の合同会議で、2023年度の国家一般予算と付随する法律および改正が承認された。総収入7兆3,630億スーダン・ポンド(約1兆6,683億円、SDG、1SDG=約0.22円)に対し、公共支出8兆1,960億SDGの大幅な赤字予算が見込まれている。ジブリール・イブラヒーム財務計画相は、2023年度予算は国外からの支援がほとんどなく、国内財源に依拠しており、税の傘を広げることで財源を増やそうと努力しているとした。

スーダンでは、2019年にオマル・バシール前政権が打倒(2019年4月16日記事参照)されて以降、軍民共同で民主化への歩みを進められてきたが、2021年10月のクーデターにより軍が実権を掌握。その後、米国が7億ドル相当の援助を凍結すると、EU諸国も一切の金融支援の停止を発表したほか、世界銀行も援助をすべて停止した。日本を含むG7諸国は、信頼できる文民主導の民主化移行プロセスが復活する前に、スーダンへの経済・開発支援を再開することはないと表明している。

2022年12月には、軍と政治勢力との間で暫定文民政府樹立に向けた「政治枠組み合意」が一部署名され、軍が文民に権力移譲する流れとなっている(2022年12月12日記事参照)が、利害関係者の対立により暫定文民政府樹立には時間がかかる見込みで、国際社会からの金融支援再開のめどは立っていない。

国際的な物価高騰の影響を受け、スーダンの貧困率は65%を超えているとされる。現地エコノミストからは、今回の関税引き上げにより、密輸や関税逃れの増加、汚職の横行、さらなるインフレにつながるとの危惧も表明されている。

(齊木隆太朗、福山豊和)

(スーダン)

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