英政府、フランスとエネルギー安全保障パートナーシップを締結

(英国、フランス)

ロンドン発

2023年03月15日

英国政府とフランス政府は3月10日、両国のエネルギー安全保障を促進するためのパートナーシップを締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同パートナーシップは、化石燃料から再生可能エネルギーと原子力へのエネルギー移行を促すとしている。

両国はウランの供給源や核燃料の生産能力の多様化により、民生用原子力分野での協力を強化し、他のG7各国とともにロシアへの依存削減に向け協調して行動する。既にフランス電力(EDF)は英国でヒンクリーポイントC原子力発電所の開発を進めており、サイズウェルC原子力発電所には英国政府と共同出資している(2022年11月30日記事参照)。

今回のパートナーシップ締結に先駆け、EDFは3月9日、英国のヘイシャム1原子力発電所とハートルプール原子力発電所の稼働延長計画を発表した。当該発電所は2024年3月での閉鎖が決定していたが、エネルギー安全保障の支援や、ガス輸入、炭素排出の削減に向けて、2026年3月まで2年間の稼働延長が計画されることとなった。今後、規制当局による判断が待たれる。

原子力のほか、両国をつなぐ国際連系線の増強や、水素、二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)に関しても協力を強化する。水素やCCUSなど急速に発展する低炭素技術を展開する際の障壁解消に取り組むことで、英国で数万人の雇用を創出する予定としている。

不法移民への対処、ウクライナへの軍事支援強化にも合意

同じく3月10日、リシ・スナク英首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領はパリで会談を行い、不法移民阻止に向けた対策に合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。英国は、フランスで新たに建設される収容施設と、フランス北部に配置される人員の増加に向けた資金を提供する。さらに、モニタリングなどの技術共有を通して、両国は連携を強化するとしている。

同会談では両国による欧州安全保障へのコミットメントも強調し、武器の提供や軍隊の訓練など、ウクライナ向けの軍事支援の強化に合意した。

(レイナー・あや、菅野真)

(英国、フランス)

ビジネス短信 a114879085b01f97