エネルギー安全保障強化に向け、原子力などへの投資を発表

(英国)

ロンドン発

2022年11月30日

英国のグラント・シャップス・ビジネス・エネルギー・産業戦略(BEIS)相は11月29日、エネルギー自給を確保するための投資パッケージを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。サイズウェルC原子力発電所の開発計画が承認され、同発電所の開発プロジェクトに対し約7億ポンド(約1,155億円、1ポンド=約165円)の政府支出が決定したことを明らかにした。本件は、1987年に英国で最後に建設されたサイズウェルB原子力発電所の建設が承認されて以来、新しい原子力発電プロジェクトに対する初の政府直接投資となる。

サイズウェルC発電所は50年以上にわたり、約600万世帯分の低炭素電力を供給するとしている。発電所の建設中には、英国全体で1万人の高スキル人材の雇用が創出される見込み。同発電所のサプライチェーン戦略では、プロジェクトの建設および運営契約の金額の70%を英国企業と締結するとしている。

また原子力のほか、エネルギー効率向上に関する投資も行われる。11月28日には、「エコプラススキーム」として10億ポンド拠出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、住宅の断熱対策費用を補助することが発表された。12月23日までの意見公募外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを経て、2023年春から最大3年間にわたり実施の予定。対象世帯は年間310ポンド節約できるとしている。このほか、1,800万ポンドを拠出し、家庭でのエネルギーの効率的な利用を訴求する啓発キャンペーンを今冬に実施する。これらの施策は、秋期経済計画で発表された、2030年までに建物や産業での最終エネルギー消費量を15%削減するという目標(2022年11月18日記事参照)に基づき講じられる。

エネルギー貯蔵の最先端技術にも投資

加えて11月28日に、最先端の革新的なエネルギー貯蔵技術を開発する5つのプロジェクトに対し、政府から3,200万ポンドを超える資金の提供が発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた(添付資料表参照)。これらのプロジェクトは、英国の電力ネットワークのレジリエンスを高めると同時に、費用対効果を最大化できるとしている。こうしたエネルギー貯蔵技術の開発は、エネルギー安全保障戦略(2022年4月13日記事参照)で示された目標に基づくもので、大規模かつ長時間の電力貯蔵による柔軟性を促進することで、より効率的な電力システムを確保する。

(菅野真)

(英国)

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