岸田首相とインドのモディ首相、G7とG20議長国として連携を確認

(インド、日本)

ニューデリー発

2023年03月24日

岸田文雄首相は3月20日、訪問先のインドでナレンドラ・モディ首相と会談した。2023年は日本がG7議長国、インドがG20議長国をそれぞれ務める年であることを踏まえ、両首脳はより緊密な連携を図ることで合意した。モディ首相は「日印特別戦略的グローバルパートナーシップ」としての両国関係のさらなる発展を提案するとともに、インドがグローバル・サウスと呼ばれる新興国を含む国際的な視点をもって、G20議長国の責務を果たしたいと述べた。

経済・経済協力分野では、日本からインドに対する官民投融資を5兆円とする目標を2022年3月に両首脳が合意しているが(2022年3月22日記事参照)、同目標の実現に向けて引き続き取り組むことを確認した。また、ムンバイ~アーメダバード間(約500キロ)で進んでいる高速鉄道建設計画の第4期で最大3,000億円の円借款について同日署名が行われたことにも触れ、日本の新幹線システムを利用する両国の旗艦プロジェクトを今後も推進していくとした。さらに、2022年に発表した「日印クリーン・エネルギー・パートナーシップ」を踏まえた協力促進に加え、2国間クレジット制度(JCM)構築に受けて協議を加速させることも確認した。なお、インド北東部開発でも「日印アクト・イースト・フォーラム」などを通じた協力を継続するとしている。

人的交流分野では、日本の有償資金協力によるインド工科大学(IIT)ハイデラバード校の施設建設が進んでいることに触れたほか、インド人学生の日本留学の拡大に取り組むとした。日本に在籍するインド人留学生は1,457人(2021年5月1日時点)と、全留学生に占める割合は0.6%にとどまっている。他方、インド外務省の推計(2022年)によると、国外で学ぶインド人は約132万人に上り、主な留学先は米国(約47万人)やカナダ(約18万人)、アラブ首長国連邦(UAE、約16万人)、オーストラリア(約10万人)となっている。

(広木拓)

(インド、日本)

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