グジャラート州政府、18件の新規投資を発表、投資誘致強化の動き

(インド)

アーメダバード発

2023年03月01日

インドのグジャラート(GJ)州政府は220日、202210月に導入した「自立したグジャラート(GJ産業支援策2022により、新たに18件の投資案件の誘致に成功したと発表した。ブペンドラ・パテル同州首相やバルバントシン・ラジプット同州産業相が出席し、州政府と企業との間で覚書の調印式が行われた(州首相府ニュース220日付)。

これら18件の新規投資案件は、インド政府が掲げる「自立したインド」政策(2020年5月14日記事参照)に対し、「自立したグジャラート」政策によって貢献するというビジョンを一層強化するもの(2022年10月24日地域・分析レポート参照)。同投資案件は化学、農薬、医薬品、農機具、水素、電気自動車を含むさまざまな製造業分野にわたり、投資総額は9852,000万ルピー(約1,5763,200万円、1ルピー=約1.6円)のうち5733,000万ルピーが外国投資家の参画によるものとしている。ジェトロがGJ州政府に取材したところ、今回の18案件には、日系企業による投資は含まれていないもよう。また、これら新規投資により、州内に約11,000人の雇用が生み出される見込みだ(222日インタビュー)。

これらの投資案件は、それぞれ州内各地域に立地するとされており、インドの塗料製造最大手アジアン・ペイント社は210億ルピーを投じて、GJ州中部バルーチのダへジ地区に酢酸ビニル・エチレン乳剤、酢酸ビニル・モノマーなどの製造工場を建設する。川上から川下までの繊維製品を手掛けるインド繊維大手企業ガーデン・シルク・ミルズ社は、同州南部スーラットの郊外で紡績やPETチップなどの分野に253億ルピーを投資する予定だ。地域分布別では、同州北部のアーメダバード周辺やサナンド、中部バドーダラ、バルーチ、サイカ、南部スーラット、西部カッチなど、各地域にも広く工場設置が予定されているとされ、州政府はこれらの案件が州内各地の産業振興と新規雇用の創出に貢献することをアピールしている。各工場は2025年までの稼働が見込まれている。

ジェトロが得たGJ州政府内からの情報によると、202212月の州議会選挙を受けて発足した同州政府の新体制は、投資誘致関係各部署に対して誘致目標を設定し、投資誘致強化に乗り出しているという。現在も州政府高官が新規大型投資案件の獲得のために動いており、近く新たな大型投資案件の覚書締結が予定されているとしている。新型コロナウイルスの沈静化を受け、インド国内の経済活動が活性化しており、他州が主催する投資誘致イベントの開催も相次いでいる。GJ州への投資誘致の基幹イベント「バイブラント・グジャラート」の次回開催予定はまだ公式に発表されていないものの、今後も同様のかたちでの覚書締結式が続くと見込まれる(222日インタビュー)。

(古川毅彦)

(インド)

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