EUの2022年インフレ率は9.2%、2023年1月の卵の価格は前年同月比3割上昇

(EU、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2023年03月15日

EU統計局(ユーロスタット)は3月9日、2022年のEUのインフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率、注〕は9.2%で、前年の2.9%から3倍以上となったと発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。完全に比較可能なデータではないものの、2022年のインフレ率は、米国は8.7%、日本は2.5%、中国は2.0%で、EUが最も高かった。また、EUと上述3カ国における2013~2022年の10年間での平均インフレ率は、EUが2.1%だったところ、米国は2.3%、中国は1.9%、日本は0.8%だった。ユーロスタットによると、日本のインフレ率は一般的にEUよりも低く、米国と中国では近年を除いて一般的にEUよりも高い。

2022年のEUのインフレ率を主要12項目別でみると、住宅・水道・電気・ガス・その他燃料が18.0%と最も高いインフレ率を記録した。次いで輸送が12.1%、食品と非アルコール飲料は11.9%の上昇だった。このほかの主な項目も、マイナス0.1%の小幅な減少となった通信を除き、2.0~8.1%の間で上昇した。

食品価格の上昇も著しく、加盟国でばらつきも

ユーロスタットは2023年3月10日、2022年に食品価格が大幅に上昇し、中でも最も値上がり幅が大きい食品の1つが卵だとして、加盟国別の卵の価格の上昇率を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。2023年1月のEUにおける卵の価格は、前年同月比で30%上昇した。2022年1月は前年同月比で7%上昇、2021年1月は新型コロナ危機前の2020年1月比で1%上昇にとどまっており、2023年の値上がり幅が顕著だった。

加盟国別でみると、2023年1月の卵の価格の上昇率が前年同月比で最も高かったのはチェコ(85%増)で、次いでハンガリー(80%増)、スロバキア(79%増)だった。値上がり幅が最も小さかった加盟国は、ドイツとルクセンブルク(ともに18%増)、次いでオーストリア(19%増)だった。いずれの加盟国も2桁の上昇率だが、加盟国間でも大きなばらつきがみられた。

(注)EUはHICP(EUの統一的な基準によるCPI)のため、米国、中国、日本のCPIと完全には比較できない。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

ビジネス短信 8cce5af2823a63a3