カリフォルニア州貿易投資フォーラム、日米企業がクリーンテックで連携模索

(米国、日本)

米州課

2023年03月15日

米国カリフォルニア州政府は314日、東京都千代田区の経団連会館で「カリフォルニア州貿易投資フォーラム」を開催した。

フォーラムの冒頭で基調講演したエレニ・クナラカス副知事は、太平洋に面するカリフォルニア州は1860年に日本初の遣米使節団の最初の訪問地となるなど、日米関係の発展を主導する玄関口の役割を果たしてきたと述べ、日本との歴史的なつながりを強調した。また、20223月に日本政府と同州が締結した気候変動対策ならびに経済および貿易関係の強化に関する協力覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに触れ、「将来にわたって日本と協力し続ける揺るぎない決意を示すものだ」と述べた。

写真 講演するクナラカス副知事(ジェトロ撮影)

講演するクナラカス副知事(ジェトロ撮影)

同覚書では、気候変動対策や、ゼロエミッション車(ZEV)やエネルギー貯蔵などのクリーンテック、水資源や再生可能エネルギーなどが具体協力分野として位置付けられている。今回フォーラムでも、クリーンテック分野の同州企業を紹介するセッションが設けられ、登壇企業は日本企業との協業連携に向けて自社技術を積極的にPRした(注1)。環境負荷の少ない水力発電タービンを開発するネイテル・エナジーは、日本の水力発電施設の多くは老朽化していて設備の現代化が必要になっていると指摘した上で、新設・既設を問わずに設置可能な同社の水力タービンを用いれば、河川の生物多様性を守ることができるとのメリットを説明した。また、同社技術は東南アジアなどへの拡張性があるとして、海外展開も志望する日本のタービンメーカーと一緒に仕事をできる機会を探していると訴えた(注2)。

フォーラムでは、日本企業と同州企業とが現在進行形で連携する事例も紹介された。東京ガスは洋上風力発電機の基礎となるセミサブ型浮体を開発するプリンシパル・パワーなどと、福島県沖で浮体式洋上風力発電の事業化を目指す。東京ガスは洋上風力は同社の二酸化炭素(CO2)ネットゼロ戦略の中心にあると述べ、「先進技術を持ち、既に海外で実績を有するプリンシパル・パワーのような企業と提携し、日本市場にローカライズしてサプライチェーンを構築することが事業を迅速に進展させる最善の方法だと考えた」と連携の経緯を説明した。

また、日本企業のカリフォルニア州進出に関する官民の取り組みも紹介され、同州議会下院議員で日系米国人のアル・ムラツチ議員は、同州に対する日本企業の投資が経済機会や雇用を生み出していると述べた。また、ジェトロの曽根一朗理事は、日本企業の対米投資は投資金額や雇用創出数のほかにも、現地で製造した製品を輸出したり、現地で研究開発をしたりして付加価値をもたらすとその波及効果を説明した。

同州は、州内人口(3,903万人、202271日推計)、名目州内総生産(28,747億ドル、2021年)ともに、州別全米第1位を誇る。ギャビン・ニューサム知事(民主党)は同州の経済規模について、2022年に米国、中国、日本に次いで「国別」世界第4位になるとしており(2022年10月26日記事参照)、米国のみならず世界経済を牽引する同州との一層の連携強化が期待される。

写真 フォーラム実施風景(ジェトロ撮影)

フォーラム実施風景(ジェトロ撮影)

(注1)登壇企業は登壇順にプリンシパル・パワー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますネイテル・エナジー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますモート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますインターセクト・パワー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますグリーン・グリッド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの5社。

(注2)ジェトロはネイテル・エナジーの日本進出を支援している。同社へのコンタクトを希望の場合には、ジェトロ対日投資部外国企業支援課(03-3582-4684)まで。

(葛西泰介)

(米国、日本)

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