ペトロ左派政権、エネルギー転換政策を発表、中止を公約していた石油・ガス新規探査は継続

(コロンビア)

ボゴタ発

2023年03月23日

コロンビアの大蔵公債省は3月15日、「公正かつ持続可能なエネルギー転換」と題した、今後のエネルギー政策に関する方針を発表した。文書では、エネルギー主権、エネルギーへの民主的アクセス、気候変動への明確な対処を目指すために、段階的なエネルギー転換を進めることを前提に、以下の5つの基本目標を掲げた。

  1. クリーンエネルギーおよび脱炭素化への投資拡大
  2. 化石燃料需要の代替を進める
  3. エネルギー効率の向上
  4. クリーンエネルギーによる発電を促進するための規制の見直しと緩和
  5. コロンビア経済の再工業化

政府は、これら5つの基本目標とともに、財政とマクロ経済の持続可能性を保障するかたちで、輸出の多様化と石油・石炭依存経済からの脱却を目指す。そのうえで、以下の6つの包括的戦略を掲げた。

  1. エネルギー資源から農産品、製造品の中間・最終製品への輸出モデル転換
  2. コロンビアを中南米域内で主要な観光地の1つにする
  3. 化石燃料への補助金の段階的な撤廃を継続する
  4. 液体燃料・ガスの探査および開発を継続し、エネルギー自給を促進する
  5. 重要鉱物(銅、コバルト、リチウムなど)の探査、生産、工業化を促進する
  6. カーボンニュートラルな鉱業とエネルギー生産への移行を継続する

4.について、グスタボ・ペトロ大統領は公約で石油・ガスの新規探査は中止すると表明していたが、ホセ・アントニオ・オカンポ大蔵・公債相は検討中と表明し、イレネ・ベレス鉱山エネルギー相は一切中止すると表明するなど、閣僚内の意見不一致に不透明感が漂っていた。また、2023年2月に実施された世論調査では、石油・ガスの探査停止について、支持するが36%、支持しないが59%となっており、国民の懸念も高まっていた。

政府の発表を受け、コロンビア石油ガス連盟(ACP)のフランシスコ・ホセ・ジョレダ代表は「国が待ち望んでいた知らせだ。政府内でエネルギー転換に関する方針を統一したことは前向きなことだ」と評価した。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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